人命救助に就くヘリはどんなルールで飛ぶの? 飛行高度に見る報道ヘリなどとの違い

報道のヘリも近くを飛んでいるようだけど…?

 陸上自衛隊などが保有する「映像伝送装置」と呼ばれるカメラや、中継機材を搭載したUH-1多用途ヘリコプターは、被災地などの状況を上空から撮影し、リアルタイムで指揮所やテレビに中継する役割を担っています。そのため、この「映像伝送装置」を搭載したヘリコプターは「救助を業務とするもの」に該当しないため、最低飛行高度を守る必要があります。これは報道ヘリコプターなども同様で、最低飛行高度を守らないと法律によって罰せられます。

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陸上自衛隊が保有するUH-1J多用途ヘリコプターは「映像伝送装置」を搭載しており、随伴する「中継機」と2機1組となって被災地上空などを飛行する(武若雅哉撮影)。

 ではなぜ、テレビ局などの報道ヘリコプターは、人命救助する自衛隊ヘリコプターを間近で撮影できているのでしょう。

 その理由のひとつは、ヘリコプターに搭載するカメラを固定する装置です。これがヘリコプターの振動を吸収し、超望遠レンズの映像すら揺れなく撮影することを可能にしているからです。テレビ局が使用するこうしたカメラレンズの望遠性能は素晴らしく、はるか彼方にいる目標が眼前にあるかのように映し出せます。

 過去には、災害現場を行き来する報道ヘリコプター同士の接触事故が発生していますが、こうした事故を教訓として、いまでは多くのヘリコプターが飛び交う災害発生地域上空においても、事故を起こすことなく飛行できています。

 災害発生現場上空で撮影された映像を観て「報道ヘリが、住民を救助する自衛隊ヘリの邪魔をしている」と批判する声が聞こえることもありますが、間近に見えて、実際はかなり遠くから撮影していることも往々にしてありえるのです。

【了】

【写真】やはり赤かった消防庁のヘリ ほか

Writer: 武若雅哉(軍事フォトライター)

2003年陸上自衛隊入隊。約10年間勤務した後にフリーフォトライターとなる。現場取材に力を入れており、自衛官たちの様々な表情を記録し続けている。「SATマガジン」(SATマガジン編集部)や「JWings」(イカロス出版)、「パンツァー」(アルゴノート)などに寄稿。

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