ここバス通るの!? 京阪神のバス「狭隘路線」5選 歴史の街道に山越え路線 塀スレスレも
ここ神戸!? 自然豊かな「登山路線」も
神戸は港町でもあり、「坂の町」でもあります。
【神戸】阪急バス61系統
・運行区間:神戸駅南口~鈴蘭台駅
・うち狭隘区間:平野橋~高座金精橋など
神戸の市街地と、六甲山地の向こう側に位置する神戸電鉄 鈴蘭台駅を結ぶ阪急バスの61系統は、150万都市・神戸とは思えないほどのルートを通る、自然に囲まれた山岳路線です。
市街地を走ったバスは「平野」停留所を越えるあたりから、まわりの景色がみるみる渓谷と化していきます。横を流れていた川は谷底に遠ざかり、バスは山手のわずかな土地に広がる集落を縫いながら勾配を登っていくのです。このルートは「有馬街道」とも呼ばれる国道428号線の旧道。整備された新道の方にはあまり人が居住していないこともあり、旧道経由のまま走り続けているのです。途中からは片側2車線の新道に入るものの、この後もダムや水源地の近くなどを通っていきます。
沿道には、かつてこの路線を運行していた神戸市交通局のマーク入りの看板が点在し、この場所が神戸市であることを辛うじて思い出させてくれます。この路線は、神戸市交通局と神鉄バスの共同運行でスタートし、神鉄から阪急バスへ移管、さらに神戸市交通局が撤退したことで阪急の単独運行となりました。
【神戸】山陽バス1系統「歌敷山循環線」
・運行区間:垂水駅前~歌敷山中学校前~垂水駅前
・うち狭隘区間:歌敷山中学校前付近など
神戸市垂水区のJR垂水(たるみ)駅のあたりは海沿いの平地が極端に少なく、街や住宅街は北側の山麓にびっしりと広がっています。この地域でバスを運行する山陽バスの路線も勾配区間が多く、なかでも運転技術が必要とされるのが、1系統「歌敷山循環線」です。
最大の難所は歌敷山中学校の北西角にある左折ポイントです。カーブ内側の中学校の塀と、バス車体との距離はわずかに十数cmといったところでしょうか。またカーブ外側の電柱にはゴムシートが巻き付けられていて、自家用車でも左折に手こずっている様子がうかがえます。このカーブは、バスもわずかなタイミングを見計らってハンドルを切らないと曲がれないのだとか。
山陽バスのなかでも高度なテクニックを要するものの、乗客は多く、平日昼間でも1時間4本は運転され、小型車への置き換えも難しいといいます。歌敷山地区からJR神戸線(山陽本線)を利用するには、垂水駅の西隣にある舞子駅の方が近いのですが、舞子までは急な傾斜が続き、普段の移動に向いているとは言い難い状況。このあたりも、垂水駅へ向かうバス利用者が多いことの要因ではないでしょうか。
※ ※ ※
今回紹介したバスが走る街の多くは、創意工夫の上で切り開かれた場所でもあります。車内からではわからない街の様子を、バスを降りてゆっくり歩き、街の歴史を探るのも良いかもしれません。
【了】
Writer: 宮武和多哉(旅行・乗り物ライター)
香川県出身。鉄道・バス・駅弁など観察対象は多岐にわたり、レンタサイクルなどの二次交通や徒歩で街をまわって交通事情を探る。路線バスで日本縦断経験あり、通算1600系統に乗車、駅弁は2000食強を実食。ご当地料理を家庭に取り入れる「再現料理人」としてテレビ番組で国民的アイドルに料理を提供したことも。著書「全国“オンリーワン”路線バスの旅」など。
高槻市営バスの【3·34】梶原線❨阪急高槻駅~梶原東❩の安満新町~梶原東間や【1·13】前島線❨JR高槻駅南~前島❩の東天川~前島間などはなかなかの狭隘区間です。
京阪バスは〇号経路、近鉄バスは〇番、大阪シティバスは〇号系統です。
どの事業者の路線も、〇系統で通用しませんので。