いざ救助される際は要注意! 実は危険なヘリの「静電気」 なぜ帯電? どう対処?

静電気帯びたまま降りてくるヘリ救助員が問題ないワケ

 救助のために降下する隊員は、ホイストワイヤーの先端に取り付けてあるフックと身体ハーネスを固定して地上へと降りてきます。しかし、救助されたい一心で隊員に触れたり、垂れ下がるフックやワイヤーに触れたりすると、前述の静電気によって感電してしまう恐れがあるのです。

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海上自衛隊の哨戒ヘリコプターSH-60の尾翼に取り付けられた「放電索」(ヒゲのように伸びた部品)により、飛行中の静電気を放電する(武若雅哉撮影)。

 ただし災害派遣の救助中に、このフックによる感電事故は発生していません。なぜなら、救助員を吊り下げない状態でフックだけを降ろすことはほとんどないからです。また降下する隊員が着地すると、接地したところから放電されるため、しばらくは感電する恐れがなくなります。そのため、地上に降りた隊員が一時的にフックを外して活動し、再びフックを装着する時には、接地させずにフックをつかみ取っても問題ありません。

 しかし、これは訓練された隊員のみが行えることで、一般人はフックやワイヤーに安易に触れることはせず、救助員の指示に素直に従うのが一番安全といえるでしょう。

 ちなみに日頃、身近で感じる静電気のひとつに、乾燥した季節、クルマへ乗る際に指先で走る静電気があるでしょう。

 クルマの静電気は、給油や走行などによって発生しますが、タイヤに組み込まれた導電スリットによって放電され続けるため、クルマの帯電量はほとんどないといいます。そのため、乾燥した時期に「パチッ」と感じる嫌な静電気はクルマが原因ではなく、人体に帯電している静電気が原因といわれています。

【了】

【写真】頼りになります! 自衛隊の救助員たち

Writer: 武若雅哉(軍事フォトライター)

2003年陸上自衛隊入隊。約10年間勤務した後にフリーフォトライターとなる。現場取材に力を入れており、自衛官たちの様々な表情を記録し続けている。「SATマガジン」(SATマガジン編集部)や「JWings」(イカロス出版)、「パンツァー」(アルゴノート)などに寄稿。

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