「空自15分全滅説」の根拠 航空基地に「掩体」なぜ必要? 現代戦の定石から機を守れ!

初手で航空基地を叩くのは現代戦の「定石」…やはり必要な「掩体」

 独ソ戦も太平洋戦争も第3次中東戦争も、「後になって考えてみれば」戦争の前兆はいくらでもありました。しかし未来を正確に予知することは極めて困難です。ある日、前触れもなく突然、戦争となり、数千億円、数兆円の戦闘機がたった1日で失われてしまうシナリオは、2020年現在においても十分に考えられます。

 第3次中東戦争の当事者となったエジプト空軍は約400機あまりの戦闘機を全機、掩体運用で防護しています。日本の周辺国においても、北朝鮮や中国という現実的な脅威を抱える韓国空軍や台湾空軍、在韓アメリカ空軍戦闘機は、少数を除きほぼ完全に掩体運用しています。

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駐機場において「列線運用」される航空自衛隊F-15。これらを全機破壊するには1発の小型爆弾があれば十分である(画像:航空自衛隊)。

 2020年現在、航空自衛隊戦闘機の運用は以下の通りです。1個飛行隊あたりの配備数は約20機です。

●2020年8月現在 航空自衛隊の戦闘機運用状況
・千歳基地  F-15 2個飛行隊  1個飛行隊のみ掩体
・三沢基地  F-35 1個飛行隊  完全掩体
・松島基地  F-2 1個飛行隊  掩体無し
・小松基地  F-15 2個飛行隊  1個飛行隊のみ掩体
・岐阜基地  飛行開発実験団  掩体無し
・百里基地  F-2/F-4 2個飛行隊  掩体無し
・築城基地  F-2 2個飛行隊  掩体無し
・新田原基地 F-15 1個飛行隊  掩体無し
・那覇基地  F-15 2個飛行隊  掩体無し
 +岐阜、松島を除く各基地4機分のアラート待機(対領空侵犯措置)用掩体

 以上のように、航空自衛隊戦闘機の大部分はほぼ無防備の状態で置かれており、また那覇基地のように拡張する土地そのものがなく、現実的に掩体運用の難しい基地もあるようです。

 冷戦時代より「航空自衛隊は15分で全滅する」などと自嘲気味に語られる現状は、いまもあまり変わっていません。

【了】

【写真】小松基地に残る旧海軍舞鶴鎮守府掩体壕

Writer: 関 賢太郎(航空軍事評論家)

1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。

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コメント

7件のコメント

  1. しかもアラート掩体は前後素通しでそっちから爆風やミサイルがきたらどうにもならないオマケ付き(ToT)

  2. 敵基地破壊能力のようなことを言い出したのはそれでですか。先方からのミサイルの前には航空機などいくらあっても役に立たないということですか。周辺諸国の弾道を予測できないミサイルの配備で迎撃ミサイルもイージス艦も無駄になったのですっけ。
     松島基地に至っては津波に高価な航空機が何機も呑まれているし。

  3. いろいろとダメージコントロールに頭と心を向けない国家に「戦争」はできない。

  4. ゲリラ的に事前に破壊される可能性は?

  5. そもそも世界中の誰にも自由に自国の地図が閲覧できて基地の場所までオープン(写真撮影されまくり)の国じゃ、擬装設備など作ってもほぼ無意味なのでは?
    それなら今進めているF35空白運用の方がはるかに相手に脅威を与える。

    • 空白→空母

  6. バンカーバスターみたいな代物が存在する現代で、掩体壕の有無に何の意味があると言うのか
    その点においては掩体壕の有無に関わらず、条件はイーブンでしかない
    だから攻撃兆候のある敵基地に先制攻撃が可能となる事が抑止となる