英エンジン+独主翼=最強戦闘機MiG-15爆誕! 世界が震撼した「ミグショック」の顛末

最強「ニーン」エンジンがあってなぜMiG-15に勝てないの?

 まず、「ニーン」エンジンの開発国イギリスは、この時点においてエンジン最先進国でした。ところが「ニーン」はあっても肝心の機体は暗澹たる有様でした。

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スーパーマリン「アタッカー」。MiG-15と同エンジンだが原型は「スピットファイアMk.14主翼換装型(スパイトフル)」であり機体は大戦レベルだった(関 賢太郎撮影)。

 イギリス製「ニーン」搭載機はイギリス海軍に2機種あり、ホーカー「シーホーク」は原型がレシプロ戦闘機「テンペスト」(正確には「シーフューリー」)でした。そしてスーパーマリン「アタッカー」は原型がなんと1930年代初飛行の「スピットファイア」(正確には「スパイトフル」)であり、「シーホーク」も「アタッカー」も速度950km/hと、これはMiG-15より約100km/hも低速でした。さらに朝鮮戦争には間に合わなかったため、イギリス海軍はレシプロ戦闘機でMiG-15と戦っています。

 次にフランスですが、フランスは第2次世界大戦中、長らくドイツ占領下にあり、戦後改めて航空機開発に乗り出しました。結果ジェット化にも乗り遅れてしまい、ダッソー「ウーラガン」という「ニーン」搭載機を開発しました。輸出先のイスラエル空軍機がMiG-15と戦って一応勝利してはいますが、性能的にはイギリス機と同様MiG-15にはまったくおよびませんでした。

 最後にアメリカ海軍は、主力戦闘機グラマンF9F「パンサー」に「ニーン」が搭載されていました。1950年以前のアメリカ海軍機は失敗の山であり、F9Fは事実上、唯一の成功作でしたが、やはりMiG-15よりも約100km/h遅く、MiG-15との直接対決に勝利はしていますが、性能面で対抗困難な状況にありました。

【写真】ハングルも見えるMiG-15のコックピット

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