ヘリコプターのアシはどう決まる? 車輪とソリの2種類 その使い分け

ヘリの着陸装置に与えられた緩衝装置としての意味とは

 ヘリの場合、要はコストや機体サイズの観点から、開発時にスキッド方式と車輪方式のどちらの方が向いているかで判断しているといえるでしょう。

 実際、自衛隊や警察・消防などのヘリコプターでも、スキッド方式は小型から中型ヘリのみで、大型ヘリやスピード重視の新型ヘリは車輪方式が多いです。

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東京消防庁のEC225ヘリコプター。車輪方式のため、滑走路まで自走が可能(2019年9月、柘植優介撮影)。

 またヘリコプターの着陸装置には、飛行機と異なり、ヘリコプター特有の問題である「地上共振」を抑える役割が一部与えられています。地上共振とは、着陸状態のときに、ローターの回転によって激しく揺れを起こす現象で、これがひどくなると最悪の場合、機体の破壊につながります。それを防ぐために着陸装置には振動を防ぐダンパーが取り付けられている場合があります。

 これがスキッド方式の場合は必要なくなることがあります。スキッド方式は簡単な構造で地上共振を抑えることができるため、とくに小型ヘリでは多用されているといえるのかもしれません。

 ちなみに、ヘリコプターの着陸装置には、墜落が免れなくなった場合に接地時の衝撃を和らげるため、一定以上の衝撃で着地した瞬間に自ら壊れるようにできています。これにより乗員乗客の生存性を高めているのです。

【了】

【写真】大小さまざまなヘリコプターを写真で見比べ

Writer: 斎藤大乗(元自衛官ライター/僧侶)

木更津駐屯地で5年間ヘリコプターと共に暮らした元自衛官。自衛官時代の経験を生かして雑誌やアニメに登場するヘリコプターの監修を行う。現在は実家のある日本最北の礼文島で僧侶をしながら記事を書いている。

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