「日野ルノー」って何? 商用車の日野 かつては乗用車も作っていたってホント?

日野のオリジナル乗用車にも影響を与えたルノー4CV

 日野製のルノー4CVは、経済性や日本の道路事情にマッチした取り回しの良さなどから好評を博し、「日野ルノー」の呼び名でタクシーなどにおいて多用されました。元々ルノー4CV自体、同じような理由から母国フランスなどで人気のクルマとなっており、10年以上生産されてフランス初のミリオンセラー車(生産数110万台以上)になっています。

 フランス本国でのルノー4CVの生産は1961(昭和36)年に終了しますが、日野自動車では2年後の1963(昭和38)年まで生産が続きました。

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日野自動車が初めて独自開発した乗用車「コンテッサ900」(2020年8月、柘植優介撮影)。

 ルノー4CVの生産によって技術力を高めた日野自動車は、初のオリジナル乗用車「コンテッサ900」を開発、1961(昭和36)年に発表します。そして同車をもとに1964(昭和39)年、さらに大きな「コンテッサ1300」などを販売しました。

 しかし、1966(昭和41)年に日野自動車はトヨタと業務提携を結んだことで、乗用車の開発から撤退を決定。これにより、「ハイラックス」など一部の受託生産車を除いて、トラックやバスなど商用車の開発生産がメインのメーカーとなります。

 日野自動車の名を冠した乗用車は、ルノー4CVと「コンテッサ」シリーズのみで終わりました。しかし、ルノーと提携したことで同社の自動車開発技術や生産ノウハウは確実に向上しており、かつ日本国内でのフランス車の知名度アップに貢献したようです。

 なお、ルノー4CVおよび「コンテッサ」シリーズは、日本製乗用車としては珍しくリアエンジン・リア駆動(RR)でした。冷却効率や積載スペースの問題などから乗用車では採用の少ない構造ですが、バスの分野では逆にポピュラーです。その点においても、もしかしたら商用車を生産する日野自動車と親和性があったのかもしれません。

【了】

★★フランス生まれ日本育ち? 「日野ルノー」を写真でたっぷり★★

Writer: 柘植優介(乗りものライター)

子供のころから乗り物全般が好きで、車やバイクはもちろんのこと、鉄道や船、飛行機、はたまたロケットにいたるまですべてを愛す。とうぜんミリタリーも大好き。一時は自転車やランニングシューズにもはまっていた。

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