「67年ぶり」も 路線バスのデザイン変更が相次ぐ背景 地域になじむまで長い年月
大阪では41年ぶりの「新顔」
大阪にも今後、バスの「新顔」が登場します。大阪市交通局のバス事業を2018年に引き継いだ大阪シティバスが、2020年11月以降、新デザインのバスを導入する予定で、市営バス時代から41年ぶりの変更といいます。
「市営バスのイメージをそのままお持ちのお客様もいらっしゃいますが、(民営化され)会社として新しくなったこと、新しい事業を印象付け、会社のカラーを打ち出します」(大阪シティバス)
今回は、大阪メトログループ全体のデザインを統括する工業デザイナーの奥山清行さんを起用しての、大々的な変更です。このように組織変更にともない新デザインのバスを導入したケースとしては、栃木県で東野交通と経営統合を行った関東自動車が、2019年以降、両社の要素を取り入れたものを打ち出している例があります。
しかし大阪シティバスは2019年にも、デザインの異なる3種類のバスを登場させています。これらは奥山さんを起用した今回の新デザインとは無関係とのことで、「社員のモチベーションアップ」を目的に、バスのデザインを社内公募したものだったそう。
バスのデザインに社員が関わった点は、前出した西武バスも同様です。検討にあたっては、社内の若手や女性社員を中心としたプロジェクトチームを立ち上げ、デザイナーを交えて行いました。その過程を経て、チームとして強くなるという「成長戦略」があるそうです。
こうして出来上がった新デザイン、社内でも「いいよね」という意見もあり、結果的に社員のモチベーションアップにもつながっていると西武バスは話します。
ただし、いずれの会社も既存の車両を一気に置き換えるわけではなく、車両更新に合わせて新デザインのバスを増やしていく計画です。大阪シティバスの場合、「1台のバスは最低でも18年使いますので、すべての車両が置き換わるまで、同じくらいの期間がかかるでしょう」とのこと。新デザインのバスが地域の「顔」となるのは、長い年月がかかりそうです。
【了】
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