ホントに飛んだの!? 「ビア樽」と呼ばれた短足寸胴機 イタリアの「スティパ・カプロニ」

ついに具現化された新航空理論

 実は、胴体そのものをダクト化したダクテッドファン機のアイデアは古くからあり、ライト兄弟が初飛行する10年前の1893年、チェコのグスタフ・フィンガー技師も同様の理論で航空機開発を目指しています。

もしこれが成功していたら、航空機開発の歴史は一変していた可能性が考えられますが、フィンガー技師の航空機開発は資金が集まらずに中止されてしまいます。

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スティパ・カプロニ機(MM.187号機)。着陸脚にスパッツが付いた後期タイプで、太い筒状の胴体は青と黄色のツートンで塗られ、スティパ・カプロニの名前が赤色で描かれている(吉川和篤作画)。

 それから35年余り経ったイタリアでスティパ技師が実機の開発を始めたのです。実験機の製作はミラノのカプロニ社が担当し、タリエドの工場で進められました。機体は樽を思わせる極太い筒型胴体の中翼機で、上部に開放式の2人乗り座席が設けられました。

 とはいえ、飛行機なので空気の流れを生み出さないと飛べません。そのため胴体内部にはイギリスのデ・ハビランド社製エンジン(120馬力)が搭載され、それでプロペラを回して推進力を得る構造でした。

【写真】エンジンカウル? 胴体? 不思議な位置にある「ビア樽」のエンジン

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