眼前で砲弾炸裂! 強化ガラス越しに圧を感じつつ見た陸自の「だんちゃーく、いま!」

おなじみ「総火演」で目にするりゅう弾砲、その砲弾が炸裂するのは、見学席からとてもとても離れたところです。もしこれが、目の前に弾着したら……その様子を、「総火演」の会場でもある東富士演習場で取材してきました。

強化ガラス越しに感じる「圧」

 掩蔽部の観測室に入ると、「射撃中は絶対に外に出ないで下さい」「強化ガラスに破片が当たりひびが入って曇る場合がありますので、その際は場所を移動して下さい」など諸注意を受けます。出ませんし、たぶんすぐ逃げます。そうこうしつつ、いよいよ砲撃を待ちます。

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砲弾の時限信管の作動時間を設定する信管調定機、右に見える信管頭部にアダプターを被せ、設定時間を打ち込んで設定完了(2020年10月14日、月刊PANZER編集部撮影)。

 約3.5km後方の射撃陣地から5門のFH70 155mmりゅう弾砲が射撃し、「弾ちゃーく、イマ!」の号令と同時に面前の空中で砲弾が炸裂します。時限信管による曳火射撃で、地表に激しく破片が降り注いている状況がはっきり分かります。

 分厚いコンクリート施設内なので砲弾飛翔音は分かりづらかったですが、「ダン!」という炸裂音は、「総火演」の見学席で聞こえる「ズボッ」というくぐもった音とははっきり違います。実際の近迫射撃状況下では、第一線部隊は弾着の瞬間を目視できるとは限らず、「弾着、今!」の号令は自らを防護するタイミングを計る重要なものであることが分かります。

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射撃準備中のFH70。手前には信管調定が終わった155mm砲弾が並べられている。(2020年10月14日、月刊PANZER編集部撮影)。

 弾着地は私たちが入った遮蔽部から200mほどしか離れていません。砲の照準がゼロコンマ数mm、砲弾の時限信管の設定がゼロコンマ数秒違っているだけで、映画のシーンそのままに「俺の上」へ落ちてくる可能性もあるのです。初弾5発の弾着は炸裂位置、タイミングとも見事に一致しており、射撃した特科教導隊第1、2中隊混成隊の練度の高さをうかがわせます。

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155mmりゅう弾の破片(2020年10月14日、月刊PANZER編集部撮影)。

 射撃終了後、砲撃で掘り返された弾着地に入りました。「砲弾の破片はまだ熱いかもしれませんから気を付けて下さい」と声が掛かります。事前に並んでいた黄色い風船は見る影も無く、熱の残る砲弾の破片を手にすると砲撃の恐ろしさを実感します。地面に開いた穴を見れば、砲弾の飛翔方向や砲弾の大きさも推定できます。

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過去の「富士総合火力演習」時の射撃陣地にはこんな看板も。イラストも中隊の隊員が描いたという(2011年8月17日、月刊PANZER編集部撮影)。

 砲撃は物理的な破壊力はもちろん、「キングオブバトル」「シェルショック」というように、メンタル面にも影響を及ぼす大きな「圧」があります。戦場の運命を司る「神」と呼ばれるのも、こうした故あってのことです。

【了】

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