なぜ不動産会社が鉄道を? ユーカリが丘線の「山万」バスにも進出 その大いなる野望

実はマジで未来都市? ユーカリが丘のこれから

 ユーカリが丘にはこれから分譲する区画の余裕もあり、いちどユーカリが丘を離れた人々の再転入が増えるなど、人口増の局面はまだまだ続きそうです。また、現在は緑地として残されている鉄道のループ部分の内部を活用し、農園や太陽光発電施設の整備を検討するなど、不測の事態への備えも進んでいます。

 新型コロナウィルスを経て、郊外への転居も増えつつある昨今ですが、そうしたなか山万は、「交通」「住宅」「エネルギー」「食料」など、さまざまな「未来」を見通そうとしているのかもしれません。

 また、いま日本中で、ストレスを感じることなく気軽な移動ができる「MaaS」(Mobility as a Service)の実現に向けた取り組みが行われています。そのなかで、不動産分譲から鉄道、バス事業、医療・介護事業まで幅広いプラットフォーム(土台)を準備できる山万が展開する「MaaS」も注目したいところです。

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ユーカリが丘駅ホームの顔出し看板。街のキャッチフレーズ入り(2020年9月、宮武和多哉撮影)。

 ちなみに、ユーカリが丘線の最近の話題といえば、Twitterアカウント「ひがし(らすかる)@nexco_east_n」さんが2020年9月に個人で行った「山万20時間耐久」が記憶に新しいところです。朝4時31分の始発から終電まで64回も乗車し続けた様子は地元ラジオ局で拡散され、終電後に山万から表彰を受けるという予想だにしない結果を生みました。SNSで発信されるその様子からは、他の地区の人々がなかなか足を運ぶことがないニュータウンの日常を垣間見ることができて、とても新鮮な企画であったと言えるのではないでしょうか。

【了】

【地図】珍しい「ラケット型」路線 ユーカリが丘線とニュータウンの位置

Writer: 宮武和多哉(旅行・乗り物ライター)

香川県出身。鉄道・バス・駅弁など観察対象は多岐にわたり、レンタサイクルなどの二次交通や徒歩で街をまわって交通事情を探る。路線バスで日本縦断経験あり、通算1600系統に乗車、駅弁は2000食強を実食。ご当地料理を家庭に取り入れる「再現料理人」としてテレビ番組で国民的アイドルに料理を提供したことも。著書「全国“オンリーワン”路線バスの旅」など。

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コメント

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4件のコメント

  1. バス画像のキャプションがバス「亭」になってますよ? なにか食べ物屋さんですかね……。

    • ご指摘ありがとうございます。訂正いたしました。

  2. 山万がそうした先進的な企業であるならば、ユーカリが丘線の車両の耐用年限が訪れたとき必ずしも新交通システムという形態で残すとは限らないという含みでしょうよね、路線バスに参入したということは。車両には冷房がついていないのですよね? 

    不動産屋が鉄道を、というと旧目黒蒲田電鉄を思い浮かべましたが、あれは田園都市㈱とは別会社だから除外ですかね。

  3. 山万の取り組みは、先見性があり参考になりますが、このユーカリが丘線の車両に冷房装置が無いという有名な話があります。
    温暖化で夏場は酷暑が当たり前の首都圏では、サービスレベルが低すぎると思います。