なぜ不動産会社が鉄道を? ユーカリが丘線の「山万」バスにも進出 その大いなる野望
デベロッパーとして住宅団地「ユーカリが丘」を開発し、自社で鉄道の敷設までなしとげた「山万」が、バス事業へ新規参入する形で並行する路線バスを開業させました。その背景には「街づくり企業」ならではのこだわりが見えます。
不動産会社がイチから作った鉄道「ユーカリが丘線」何がすごい?
東京都心から50km圏内、おおよそ60分程度に位置する千葉県佐倉市の「山万ユーカリが丘ニュータウン」。このニュータウンをぐるりと一周する鉄道線「ユーカリが丘線」は、街を開発・分譲したデベロッパー(不動産事業者)である株式会社山万が1980年代に自ら建設し、現在も運営するという珍しい路線です。
通常の宅地開発において、デベロッパーは分譲・販売を終えると地域から撤退し、住民サービスに関わることは稀です。そのなかで「鉄道事業に新規参入し、開通後も自社で運営を続ける」という山万の経営判断は、許認可をつかさどる運輸省(当時)にも「不動産屋が鉄道を走らせるとは何事だ」と難色を示されるなど、実現までに無数の調整を余儀なくされたという経緯があります。
当時、地元・佐倉市からも市営バスの運行を提案されましたが、これを断ってまでユーカリが丘に導入されたのは、騒音が少ないゴムタイヤ式の「新交通システム」でした。バスと違って排気ガスを出さず環境負荷が少ない「山万ユーカリが丘線」は、ニュータウンの第1期分譲後、1982(昭和57)年に開業しました。
ユーカリが丘線は全長4kmほど、全線を走っても17分程度の小規模な鉄道路線ですが、首都圏や千葉市内への通勤・通学、団地内の移動と車内の表情もさまざま。平日朝には1時間に7、8本ほど運転されるほか、京成本線の始発に接続するため朝の始発は4時31分、終電は0時22分と、ほかの民間鉄道とも遜色ない営業時間の長さを維持しています。
そしてユーカリが丘のもうひとつの特徴は「年齢層・年代が幅広い」こと。昭和40年代から50年代にかけて整備されたニュータウンや、そこへ延びる鉄道は、高齢化や乗客減少に悩まされるのが常ですが、この街は分譲する住宅を年間200戸ほどに抑えているため、街には子供の声が響き、いまだに建設から50年が経ったニュータウン内とは思えない活気があります。
このニュータウンの鉄道に2020年、大きな変化が訪れます。鉄道とほぼ並走するようなかたちで、山万が自らバス路線を開設するのです。
バス画像のキャプションがバス「亭」になってますよ? なにか食べ物屋さんですかね……。
ご指摘ありがとうございます。訂正いたしました。
山万がそうした先進的な企業であるならば、ユーカリが丘線の車両の耐用年限が訪れたとき必ずしも新交通システムという形態で残すとは限らないという含みでしょうよね、路線バスに参入したということは。車両には冷房がついていないのですよね?
不動産屋が鉄道を、というと旧目黒蒲田電鉄を思い浮かべましたが、あれは田園都市㈱とは別会社だから除外ですかね。
山万の取り組みは、先見性があり参考になりますが、このユーカリが丘線の車両に冷房装置が無いという有名な話があります。
温暖化で夏場は酷暑が当たり前の首都圏では、サービスレベルが低すぎると思います。