F/A-18「ホーネット」の大逆転劇 「空」がダメなら「海」で飛ばせばいいじゃない!

「F/A」は多用途機のしるし 「ホーネット」世界へ

 アメリカ海軍という「拾う神」の登場により、敗者の座から復活したYF-17ですが、ノースロップは第2次世界大戦後、空母艦載機を開発した実績がなかったことから、同機の艦上戦闘機化は、F-4などを手がけたマクドネル・ダグラス(後にボーイングに吸収合併)へ移管されることになりました。

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原子力空母「ジョージ.H.W.ブッシュ」に着艦するF/A-18C(画像:アメリカ海軍)。

 YF-17の艦上戦闘機化の過程で、アメリカ海軍はA-7「コルセアII」攻撃機の役割も果たせる戦闘機であることを求めました。このためYF-17は戦闘機の機種記号である「F」(Fighter)と、攻撃機の機種記号である「A」(Attacker)を組み合わせた「F」/「A」-18として制式化されることに。

 F/A-18は初陣となった1991(平成3)年の湾岸戦争で、爆撃任務の途中に遭遇したイラク空軍のMiG-21を撃墜後、そのまま本来の目的である爆撃を行なって帰還し、戦闘機としても攻撃機としても高い能力を持つことを実証しました。高性能のわりに価格が安いF/A-18は海外からの評価も高く、カナダやオーストラリアなど7か国にも採用され、製造数も1480機に達しています。

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オーストラリア空軍のF/A-18A(画像:アメリカ空軍)。

 F/A-18は現在、アメリカ海軍と海兵隊、オーストラリア空軍などでは退役が進んでおり、導入したカナダやスイスも後継機の選定を進めているところです。空軍の軽量戦闘機の選定ではライバルに敗れたものの、開発したメーカーからほかのメーカーに「養子入り」して成功をおさめたその数奇な運命と、現在の戦闘機では主流となっている、最初から戦闘機と攻撃機の任務を1機でこなせる「マルチロール・ファイター」のはしりとなったF/A-18の名は、航空史に刻まれていくものと筆者(竹内 修:軍事ジャーナリスト)は思います。

【了】

【写真】ライバルそろい踏み 開発機YF-16とYF-17のランデブー飛行

Writer: 竹内 修(軍事ジャーナリスト)

軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。

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コメント

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1件のコメント

  1. YF-17は在来の操縦系統
    YF-16はフライバイワイヤ
    海軍はレーダー機器に悪影響を与える疑念とフライバイワイヤの故障での事故
    及びF-16の情報書類を乗せた機体が墜落してイメージ悪化が書いてないぞ