実現へ前進「富士山LRT」 5合目が近すぎちゃってどうしよう? 「冬も富士観光」課題も

鉄道だけの問題ではない 「真冬の富士山観光」その現実味

 今回のLRTには「真冬の富士山観光」への可能性も期待されています。富士山5合目は冬場の雪だけでなく、濃霧や落石などで到達できない日も多いのが現状です。バスが4合目(大沢駐車場)止まりとなると、観光客は「他の観光地に向かう」「帰る」「いったん待ってみる」など様々な対応を迫られます。こうした状況がLRT建設によって改善されるというのです。

 とはいえ、これには鉄道の問題だけでない、さまざまな課題が想定されます。

 まず考慮されるべきは、5合目に向かう人々の「行動パターンの多様性」です。登山客は「ご来光を拝むため21時出発」「日中に登山して戻るために朝4時出発」など出発時間が様々。そうした観光客を受け入れる施設や鉄道のスタッフも、往復2時間かけて毎日輸送することを考えれば、運行時間はかなり長くなるでしょう。

 また鉄道のチケット販売数による入山管理は、現状の路線バスのように富士吉田市内で気軽に途中乗車できなくなることも考えられます。古くから富士山の修験者受け入れを支えてきた小さな民宿にとっては痛手となりかねません。さらに、これまで考慮されていなかった「冬の5合目」を地域がどうアピ―ルし、活用するかも課題といえます。

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富士山駅からのアクセスを担う富士急バス。写真は富士急山梨バス時代(宮武和多哉撮影)。

 そして、素案では「将来的な検討課題」との記載にとどまったLRTと富士急行との接続も考えなければなりません。線路幅を考えても相互乗り入れは難しく、素案でLRTの起点とされた「スバルライン料金所」近辺から、地域の中心駅である富士山駅まで、市街地や浅間神社門前の街並みを通過する新線建設も現実的ではないと思われます。

 もし、距離的に近い富士急ハイランド駅に接続するとすれば、東富士五湖道路横を活用するか、思いきって富士急ハイランドの敷地を貫通してもよいかもしれません。

【画像】壮大! 「富士スバルラインに路面電車」のイメージ

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コメント

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6件のコメント

  1. どうしたらこの自然をさらに破壊する計画を断念させることができますかね?続けるならイコモスが富士山(と三保の松原)の世界遺産認定を取消しかねませんよ?

    • 別にええんちゃう?
      世界遺産取り消されても自業自得って事で。

  2. 富士スバルラインの廃止は出来ればやめて欲しい…
    五合目まで結ぶのはロープウェイとか索道の建設ではダメなのですかね…?

    • キモは自家用車の排除なのだからスバルラインを潰すことが大前提であって、
      ロープウェーor索道は論外でしょ。移動手段を増やしてどうすんのさ。
      専用道にしてBRT&連節バスとかで良いと思うけどね。

  3. せっかく鉄道化するのなら、来場者過多を予防するためにも762mmゲージを採用しましょう。

  4. 実現を願っています。道路交通に頼りすぎる状況を打破して