アメリカ「自作飛行機」普及の意外なワケ 自分で組み立て、自らパイロット兼整備士
航空機大国アメリカでは、未完成の飛行機が売っています。自分で組み立て、自ら整備し、自身で飛ばす……そうした「ホームビルト機」が航空産業を支えるほど普及したのには、ワケがありました。
すでに1世紀前からアメリカで飛んでいた「自家製飛行機」
アメリカでは、航空黎明期といえる1920年代より自作飛行機を製作して飛ばすことが広く行われてきました。
1930年代には、すでに自作機の安全基準が制定され、それを満たす機体は実用機としての飛行が認められていたのです。それは自宅で組み立てられることから「ホームビルト機」と呼ばれ、設計を含めて一から自力で行う場合もあれば、設計段階の検査をすでに受けている組み立てキットを購入して、それを組み立てる方法などがあります。
しかもアメリカには、キットを組み立てたホームビルト機を自家用機として使用することを後押しする制度があります。これは通称「51%ルール」と呼ばれる制度で、組み立て作業の51%以上をユーザー自身が行うのであれば、完成した機体の整備士資格も限定的ながら自動的に付与されるというものです。
この制度により、自分が組み立てた機体を、自分で整備して、自家用機として使用することができるのです。こうすることで、購入費用と維持費の両方を安く抑えられるという大きなメリットがあるのです。
1980年代になると、それまで一部の愛好家による趣味の領域であったホームビルト機が一躍脚光を浴びるようになりました。要因はメーカーに対するPL(製造物責任)が大きくなったことです。同時期、PLを問う判例が相次ぎ、航空機メーカー各社には高額な賠償負担とともに急騰した保険料がのしかかったのです。
40年以上前に、エンジン抜きのキットが1200万から、と読みました。それと自作機かどうかはわかりませんが冷戦下で欧州線が立ち寄ったアンガレッジの空港に多くの小型機が止められていました。大切な移動手段なのでしょう。