アメリカ「自作飛行機」普及の意外なワケ 自分で組み立て、自らパイロット兼整備士
ホームビルト機に新技術が次々投入されたワケ
結果、航空機メーカーの多くは小型機の生産を縮小し、生産が維持された航空機も価格が跳ね上がってしまいました。自作機とメーカー製完成機の価格差が大きくなったことで、ホームビルト機が注目されるようになったのです。
1980年代はコンピューターによる空力設計や、機体構造への複合材料の導入が大きく進みましたが、PL関連コストが重荷となり、航空機メーカーは新型機の開発に消極的になっていきます。ところが、PLの問題をユーザーの“自己責任”で回避できるホームビルト機は、新技術を積極的に取り入れることができ、次々に高性能機が登場しました。結果、性能面でもホームビルト機はメーカー製完成機に比肩するようになったのです。
そのようなホームビルト機のキットメーカーをいくつかご紹介します。
西海岸北部にあるオレゴン州のヴァンズ・エアクラフト社は金属製のキットを販売するホームビルト機の最大手です。有名な同社の製品である「RVシリーズ」は単座から四座まで数種あり、生産数は各型合計で、すでに1万機を突破しています。たとえば、2人乗りの「RV6」は2600機以上が出荷されており、ナイジェリア空軍では練習機として「RV6A」を採用しているほどです。
同じくオレゴン州のランスエア社は複合材料製の高性能機をキットで販売しています。現在は2人乗りと4人乗りの2種類のキットを生産していますが、以前生産していた最高級機種である「ランスエアIV」は、同社初の4人乗りキット機でありながら巡航速度500km/hを誇りました。
この高性能に着目したNASA(アメリカ航空宇宙局)は、「ランスエアIV」を完成機として型式認証を取得して生産することを推奨したのです。その結果、生まれたのが小型機メーカーとして有名なセスナ社において、最高級単発機として登場した「セスナTTX(旧コロンビア300/400型)」です。
40年以上前に、エンジン抜きのキットが1200万から、と読みました。それと自作機かどうかはわかりませんが冷戦下で欧州線が立ち寄ったアンガレッジの空港に多くの小型機が止められていました。大切な移動手段なのでしょう。