新型空母も「ワンオペ」か 不経済極まりない空母1隻体制をフランスがやめられないワケ

なぜフランスはそうまでして空母を保持しなくてはならないの?

 一般的に、空母は最低3隻を保有し、1隻が実任務に就き、1隻は整備、1隻は整備完了後の訓練を行なうというローテーションで運用するのが理想的です。2020年12月の時点で、この理想を実現できているのはアメリカだけですが、中国は3隻以上の保有を目指して空母の建造を進めており、また、イギリスもクイーン・エリザベス級空母を2隻建造しています。

 フランスもかつてはクレマンソー級空母を2隻保有していましたが、現時点での保有空母は「シャルル・ド・ゴール」1隻のみで、そしてPANGの同型艦を建造する計画はありません。よって当面は、空母1隻という状態が続くと見られます。

 空母を1隻しか保有していない場合、肝心な時に空母がドック入りしたり、訓練が不十分で使用できなかったりという事態も起こりうるため、巨額の資金を投じてフランスが空母を保有し続けることを疑問視する声も存在します。ところが、フランスには石にかじりついてでも空母を保有しなければならない、ふたつの理由があります。

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PANGへの搭載が予定されている仏独伊共同開発の新戦闘機、「NGF」のコンセプトモデル(竹内 修撮影)。

 そもそもフランスは、現在でも旧植民地であったアフリカ諸国と密接な関係にあり、外交、経済、軍事などのあらゆる面でその関係を維持しようと努めています。

「シャルル・ド・ゴール」最初の任務は、アメリカが主導するアフガニスタンにおける「不朽の自由作戦」への参加ですが、その後は中東から北アフリカで起こった民主化運動「アラブの春」で混乱したリビアの警備や、2015年11月にパリで発生した同時多発テロに対するダーイシュ(ISIL)への報復作戦など、アフリカでの作戦に多く参加しています。

 空母の派遣とその航空戦力の投入は、実際に投入できる戦力以上にアフリカ諸国へ対するプレゼンスが大きいとフランスは考えており、それが、同国が空母を手放せない理由のひとつとなっています。

【写真】実は世界でも唯一の核兵器投射能力保有空母「シャルル・ド・ゴール」

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コメント

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1件のコメント

  1. ワンオペの空母運用をするなら、基本的には訓練状態での最低限の運用で維持して、整備期間を短縮する。有事に即応はできないが、旧植民地などでの政治情勢が悪化した時などに、一時的に訓練から実戦状態に運用レベルを上げて対応することは、ある程度のタイムラグは発生するが可能です。
    英国海軍のツーオペ空母も、これに近い状態で運用にされています。
    2隻のうち1隻は常に予備役(ビジー)状態で、整備と訓練を一体化している。就役しているもう一隻とローテーションで交代することで、空母1隻は常に稼働状態を維持している。
    一番呑気なのは海自の潜水艦。
    ドック入り→基本訓練(新人受け入れ)→実戦訓練→実働を、4年のサイクルで繰り返しているから、実際には1/4(25%)しか稼働していないことが、事故の海難審判で明らかになりました…