空母「クイーン・エリザベス」来航か イギリスが空母打撃群を極東へ送りこむワケ

太古の昔より軍事力と外交は密接な関係にあるものです。その外交の舞台で古より様々な手腕を振るってきたイギリスは、軍事力についても「使い方」というものを熟知しているようです。空母打撃群の西太平洋派遣、その背景とは。

目的のひとつは対アメリカ 西太平洋での活動が「貸し」になるワケ

「クイーン・エリザベス」空母打撃群の西太平洋への長期展開には、アジア太平洋地域だけでなく、最大の同盟国であり、特別な関係であるとイギリスが自認する、アメリカに対して貸しを作るという狙いがあるとも見られています。

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大西洋を航行する空母「クイーン・エリザベス」(画像:アメリカ国防総省)。

 アメリカは1979(昭和54)年から、他国が領海や排他的経済水域などの海洋権益を過剰に主張していると判断した場合、それを認めないという意思を示すため、当該国へ事前に通告せずに軍艦を航行させる「航行の自由」作戦を行なっています。

 南沙諸島などで権益を過剰に主張している中国に対しても、アメリカは「航行の自由」作戦を遂行していますが、近年では南沙諸島の所在する南シナ海を担当する、第7艦隊の負担の増加が問題となっていました。

 アメリカは中国をけん制するため、空母やF-35Bを搭載する強襲揚陸艦を派遣して、周辺諸国と共同訓練や共同演習も行なっているものの、空母は冷戦時代に比べて隻数が減少しており、強襲揚陸艦も、F-35Bの搭載能力を与えるため改修工事を行なっていた「ボノム・リシャール」を工事中の火災で喪失するなど、派遣する艦のやり繰りに苦慮しています。

 イギリスのボリス・ジョンソン首相は外相在任時の2017年7月にオーストラリアで、「2隻の新しい巨大空母(クイーン・エリザベス級)で最初に行うことのひとつは、この地域(南シナ海)に派遣して『航行の自由』作戦に参加させることだ」と述べています。その言葉どおりの展開をしているともいえますが、当時よりも自由主義諸国で中国の脅威が共有され、かつアメリカ海軍の負担も増加している中での今回の「クイーン・エリザベス」空母打撃群派遣は、日本を含めたアジア太平洋諸国とアメリカという、今後のイギリス外交の両輪を強化する策として、「絶妙」のひと言に尽きると筆者は思います。

【了】

【写真】歴史的瞬間 「QE」のキモ「スキージャンプ台」と飛び出すF-35B

Writer:

軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。

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コメント

2件のコメント

  1. イージス艦「サリバンズ」とありますが、正式な艦名は「ザ・サリバンズ(ないしはザ・サリヴァンズ)」。

    由来は、第二次ソロモン海戦中撃沈された巡洋艦に乗艦して戦死したサリヴァン家の5兄弟に因むため(故に複数形)

  2. さすがに主目的は香港問題へのアクションしてますよ!アピールでしょ

    副次的に打撃軍の訓練や空母保有願望国への友好寄港などなど

    このサイトの編集者はペラッペラな記事に対して

    リライトしてもらわないのかなぁ??

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