B-25はいかに「死神」だったか 毎分7700発の機関銃モンスターと化した「襲撃機モデル」

更なる火力を求めて75mm戦車砲まで搭載

 12.7mm(ブローニング50口径)重機関銃は、いまでも自衛隊を始めとして、アメリカ軍やイギリス軍といった、いわゆる西側諸国の軍隊で広く使用されているベストセラー兵器です。開発は第1次世界大戦直後で、弾道の直進安定性に優れるうえ、弾丸の威力が大きい割には銃本体がコンパクトにまとめられていたことから、航空機関銃としても多用されました。

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飛行場で整備中のB-25Hの機首アップ。機首最前部に12.7mm重機関銃が4挺、その下に75mm砲、側面左右に2挺ずつ12.7mm重機関銃があるのがわかる(画像:アメリカ陸軍)。

 12.7mm重機関銃の発射速度は毎分550発ですが、これを前出のB-25は8挺も搭載したので、合計すると実に毎分4400発が前方に向けて発射される計算になります。実戦では超低空で攻撃中のここぞという時に10数秒間だけ射撃するので、1回の斉射で撃つ弾数は1000発程度ですが、12.7mm弾の威力から見れば、これは恐ろしい掃射です。

 12.7mm弾がどれほど強力かというと、徹甲弾であれば日本の駆逐艦や軽巡洋艦の外板程度は容易に貫通するほどで、小型の輸送船などは機関銃掃射だけで沈められてしまうこともしばしばあったようです。

 加えてB-25は機体中央部の爆弾倉に各種爆弾を搭載でき、さらに主翼下にはロケット弾を吊り下げることが可能だったため、機関銃掃射と爆弾、ロケット弾の各武装を使い分ければ、同一目標に対して何度も反復して攻撃を加えることができました。

 当初は、既存機を改造する形で誕生したB-25低空襲撃機でしたが、その圧倒的な火力が認められ、アメリカ本土の工場でも新造されることになりました。その結果、重機関銃に加えて、戦車の主砲と同じ威力を持つ75mm砲1門を搭載したGおよびHの両タイプが開発され、生産に至っています。

 ちなみに同砲は、航空機搭載用として小型軽量に設計されていたため、後にM24「チャーフィー」軽戦車の主砲に転用されました。

【写真】75mm砲の連射を可能にした装弾構造

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