気がつけばあと4両 絶滅危惧種の事業用車「クモヤ143形」 一部は乗務員の訓練用に

ATCを搭載しないクモヤ143形も

 このように首都圏を中心に使用されてきたクモヤ143形でしたが、1992(平成4)年になると「クモヤ143-3」が山形新幹線用のけん引車用として「クモヤ743-1」へと改造。2002(平成14)年にはマヤ34形の置き換え用としてE491系「East i-E」が登場するとともに、工場に入出場する車両が編成単位となったことから、次第にクモヤ143形を使用する機会は減少し、廃車が続出するようになりました。

 この結果、2020年4月現在で車籍を持つクモヤ143形0番台は、東京総合車両センターの「クモヤ143-8」と「クモヤ143-9」の2両だけです。

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浦和電車区(現・さいたま車両センター)の一般公開で展示されたクモヤ143-8(右)(2002年4月13日、伊藤真悟撮影)。

 廃車となったクモヤ143形のうち、「クモヤ143-18」は新秋津のJR東日本 八王子総合訓練センター、「クモヤ143-21」は東大宮のJR東日本 東京・大宮総合訓練センターで、それぞれ機械扱いの訓練用車両となりましたが、「クモヤ143-18」は2010(平成22)年に長野総合車両センターに送られて解体されています。

 クモヤ143形は0番台以外にも50番台の車両がいます。こちらは荷物輸送廃止に伴い余剰となったクモニ143形を1986(昭和61)年に改造したもので2両が登場。現在、「クモニ143-51」が新潟車両センター、「クモヤ143-52」が長野総合車両センターに配置されています。このクモニ143形50番台は車体色がクモニ143形時代からの湘南色で、ATCを搭載していないのが特徴です。

 JR東日本では2021年春以降、車両の入換作業や回送列車のけん引用にE493系事業用電車を首都圏エリアで先行投入。性能試験を実施後に運用を開始する予定です。これにより、4両が残るクモヤ143形は姿を消してしまうかもしれません。

【了】

【写真】激レア? 2階建てグリーン車をけん引するクモヤ143形

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コメント

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2件のコメント

  1. これも撮り鉄の罵声の餌食になるんやろな

    • 少なくも こういうコメントを書けば意識高い系 の勘違いは出たようだな