空挺+戦車=最強! とはいかなかった「空挺戦車」 なぜ開発され廃れていったのか

輸送機などで兵員を輸送し降下させる空挺部隊は登場以来、後方攪乱に急襲と重宝されていました。しかし装備面が貧弱で、降下場所や時間を間違えると大損害を受けることも。そうした問題を解決するために生まれたのが空挺戦車でした。

戦後は本格的な空挺戦車が作られることになるが…

 戦後の冷戦期には、大規模な空挺作戦で相手の背後を攪乱するのが重要な戦略と考えられ、米ソで空挺戦車の開発が活発になります。

 アメリカ軍では1953(昭和28)年にM56空挺対戦車自走砲「スコーピオン」が、1965(昭和40)年にはその後継車両となるM551「シェリダン」という空挺戦車が採用されました。両車両ともアルミ合金製で、重量は「スコーピオン」が約7t、「シェリダン」は約15tしかありません。ちなみに、両車両が運用されていた時期に陸上自衛隊が運用していた61式戦車の重量は35tです。

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M551「シェリダン」。実戦で空挺投下されたのは1989年のパナマ侵攻時のみで、その際、約半数が着地時に破損、故障したという(画像:アメリカ陸軍)。

 この軽量化により、アメリカ軍の空挺戦車はそれまでのように、グライダーに搭載したまま降下させるのではなく、空挺部隊の兵士と同じく輸送機からのパラシュート投下やヘリコプターで運ぶことが可能になりました。「スコーピオン」に関しては砲塔が正面以外むき出しのいわゆるオープントップで、砲の旋回が遅いなどの問題がありましたが、「シェリダン」ではその点を改善し、通常の戦車のような砲塔と152mmガンランチャーという、砲弾と対戦車ミサイルの双方が発射可能な大口径砲を搭載していました。

「シェリダン」の登場で、創作物でよくあるように、装甲兵器を持つ空挺部隊が大量に降下して敵基地を急襲、制圧する……ことにはなりませんでした。元々、装甲車両でありながら、輸送機に搭載する重量の関係から採用されたアルミ合金の車体の対弾力は最低限、対戦車戦や地雷耐性が厳しいのはもちろん、敵兵が現地で手作りした携行対戦車武器も脅威となる有様でした。

 しかも本格的な実戦は1960年代のベトナム戦争で、空挺戦車には不向きの湿地帯や熱帯雨林での戦闘でした。足回りはトラブル続き、頼みのガンランチャーも装填できなくなるトラブルや不発が相次ぎ、結局、ほとんどの部隊が主力戦車であるM60「パットン」を使用することになります。

【写真】いっそ戦車に翼をつけたら…を実際にやろうとしたアントノフKT-40

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コメント

4件のコメント

  1. 日本の空挺部隊はクーデターへの対応が主たる任務でしょうから、そこまでの装備は必要ないのですかね…

  2. パレンバン降下作戦は、日本陸軍によるものです。

  3. まぁ輸送機の輸送能力があるから限界があるし輸送方法も限られていて二重苦状況で、そこに故障率が絡んでくるから”空挺”戦車はそう簡単に使えないし、作れないわな。

    まぁアメリカもM551の後継としてM8 Armored Gun Systemを開発して制式化されているけど、能力・性能の問題で導入されてないし、一方でイラク戦争でノーザン・ディレイ作戦で人員は空挺降下しかけど、空港を確保して機上のドラゴン作戦でM1エイブラムスやM2ブラッドレーを送り込んだけど、数も少ないから空挺攻撃にも限界があるわな。

  4. 私の父は陸軍落下傘部隊でパレンバン降下しました。

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