国内空港「凄テク着陸」はどこで実施? ANAパイロットに聞く 超レアなものも…

都内!?にもうひとつあった「凄ワザ空港」

 ANAのパイロットによると、東京にもうひとつ、パイロットの職人ワザが求められる空港が存在するとのこと。伊豆諸島の八丈島にある八丈島空港です。

「八丈島空港は山と山に挟まれた場所にあり、標高700~800mの山が滑走路の南北それぞれわずか3km前後のところにそびえています。そのため、地形の影響で風が非常に複雑な流れで吹いており、風速は弱くても気流が安定しない空港です」(ANAのパイロット)

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八丈島空港(画像:写真AC)。

 このため、滑走路長2000mとあまり規模の大きくない空港ながら、風の観測機器を多めに配備しパイロットの操縦サポートを実施しているほか、ANA独自で、36方位すべての風向きに対し、離着陸が可能な風速の制限値を細かく設定し、安全性を確保しているそうです。

 また、上空だけではなく、滑走路にもポイントがあるとも。

「八丈島空港の滑走路は、中央付近をピークにして両滑走路端に向かって0.4度(約0.7%)の下り勾配となっています。つまり着陸時、上り勾配に接地することになり、接地操作の技術が求められます。旅客機の場合、3.0度の降下角で着陸進入することが一般的なので、0.4度の上り勾配に着陸するには、実質的に3.4度の勾配から着陸するのと同じようなイメージになります。また、滑走路中央を越えると下り勾配となることから、着陸滑走中の減速、停止のための的確な操作もポイントです」(ANAのパイロット)

 このほか、同空港は南海上に低気圧や前線がある場合に悪天候となることが多いことから、その場合にはとくに高いテクニックが要求されるそうです。

 なおANAでは、機長として八丈島空港発着便を運航するには、実地審査(実際の八丈島空港発着便での審査)に合格することを必須としているほか、同空港では離着陸時の操縦は機長のみとするなど、プロのパイロットのなかでも選ばれた人のみが着陸できる“職人ワザ”空港のひとつとなっています。

【了】

※一部修正しました(2月26日10時09分)。

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