三陸の鉄道「早々バスに」「8年かけ鉄道で復旧」なぜ分かれた? それぞれの軌跡と課題

BRTにも柔軟性ならではの課題が

 一方、BRT区間は開業以降も実績が以前とほぼ変わらず推移し、各地に円形の独特な駅舎も整備され、バス待ちの時間も快適に過ごせるようになりました。しかしバスの最高速度は60km/hにとどまり、かつ経由地が増えたことで「所要時間」が課題となっています。

 特に大船渡線の陸前高田~盛間が、震災前の34分から47分(いずれも各駅停車)に増えているのは、街の内陸移転などによりこの区間のルートが山岳部などを挟み、専用道以外の経由地が増えたこともあるでしょう。

 気仙沼線ではBRTとしての開業後も、震災前から渋滞が激しかった気仙沼市内の専用道開設が遅れ、南気仙沼駅や不動の沢駅周辺で遅れが出てしまうケースもありました。しかし沿線の大川・沖ノ田川にかかる橋の整備とともに市内の専用道の延伸も進み、また三陸道の一部をなす「気仙沼湾横断橋」も2021年3月に開通し、市内の渋滞そのものの解消が期待されます。

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大船渡市内で行き違いをするBRT(宮武和多哉撮影)。

 東日本大震災以降の10年も、三陸沿岸では災害による交通機関の途絶は発生しています。新型コロナの影響が落ち着いてから、まずは現地に赴き、「災害は誰の身近にも起こりうること」と考えながら、難局を経験した鉄道やBRTに乗ってみると良いかもしれません。なにぶんいまの三陸は「ワーケーション」設備も充実し、海産物はもちろん釜石のラーメンや町中華、気仙沼のホルモン料理も美味で、飽きることがありません。

【了】

【写真】再出発を果たした各駅の風景

Writer: 宮武和多哉(旅行・乗り物ライター)

香川県出身。鉄道・バス・駅弁など観察対象は多岐にわたり、レンタサイクルなどの二次交通や徒歩で街をまわって交通事情を探る。路線バスで日本縦断経験あり、通算1600系統に乗車、駅弁は2000食強を実食。ご当地料理を家庭に取り入れる「再現料理人」としてテレビ番組で国民的アイドルに料理を提供したことも。著書「全国“オンリーワン”路線バスの旅」など。

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コメント

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2件のコメント

  1. 無知だとしかいいようがない。元々三鉄の実績は伸び悩んでいたし、料金が低いJRの実績が変わらないのは当たり前。鉄道とBRT以外の要素を含めないでこの記事を書いているように見える。道路の接続を考えると所要時間は課題ってほどではないし、三鉄も経営辞めるとは言えない状況。交通課題を論じるなら様々な要素を含めてください。

  2. 大船渡線BRTは鉄道と違うルートになり、上鹿折が切り捨てられてしまった。鉄道沿いに走らせられなかったのだろうか。