停電で地下鉄ストップ でも「動かせます」 暗闇の線路歩かず避難可能にする東京メトロ
停電時は「地上バッテリー」で走らせる
「車上搭載」が難しい路線で採用されているのが、「非常用地上バッテリー」です。文字通り車上ではなく「地上」に設置するこのバッテリーは、都心から少し離れた4か所の変電所にあります。東西線に電力供給する葛西変電所と行徳変電所、日比谷線の千住変電所、千代田線の綾瀬変電所です。2016年から2017年にかけて設置されました。
この4か所には共通点があります。それは「電力を供給する区間に長い橋がある」ことです。それぞれ受け持ちの区間には、荒川や隅田川、江戸川を渡る橋があります。
停電により列車が長い橋の上で止まってしまうと、通常の区間よりさらに足元が悪く危険な橋上の線路を歩いて避難することになります。こうなることを避けるため葛西・行徳・千住・綾瀬の4か所が選ばれたのです。
変電所に設置された非常用地上バッテリーは、平時は列車の減速時に生まれる回生電力を蓄えつつ、加速する列車をアシストして省電力化に貢献。非常時は架線(線路の電線)に電力を供給し、橋上や駅間で止まってしまった列車が最寄り駅まで自力走行できるようにします。
なお、非常時を想定したバッテリー自走システムは、2020年7月に営業運転を開始した東海道新幹線の新型車両N700Sにも搭載されています。
【了】
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