武装ジープに似た車両を作れ! 機動力マックスな砂漠の忍者「サハリアーナ」
第2次大戦に参戦したイタリア軍は、北アフリカ砂漠で敵の長距離偵察車に翻弄されます。そこで同様な兵器を求め新たな偵察車を開発したところ高性能を発揮。イタリア特殊部隊が愛用した専用設計の特殊車両を振り返ります。
敵軍の偵察車両に惚れたのが発端
第2次世界大戦においてイタリアは、アフリカ大陸における植民地の拡充をもくろみます。そこで同国は、1940(昭和15)年6月にイギリスをはじめとした連合国に宣戦布告すると、同年9月に当時イギリスの植民地であったエジプトへの侵攻を開始しました。
しかし、砂漠の戦いでイタリア軍は、敵であるイギリス軍の神出鬼没な長距離偵察部隊(LRDG)や特殊空挺部隊(SAS)に悩まされることになります。これら部隊は、ジープやトラックを改造し武装を施すことで、広大な砂漠においてイタリア軍や同盟国ドイツ軍の後方深くまで潜入して、情報収集や破壊活動にも大きな効果を挙げました。
まさに、往年のアメリカTVドラマ「ラット・パトロール」のモデルにもなった、これらイギリス軍遊撃部隊に手を焼いたイタリア軍は、対抗策として自分達も長距離偵察部隊の編成を考えます。しかし、当時イタリア軍にはイギリス軍が改造使用した「ジープ」のような4輪駆動の野戦用車両が存在しなかったため、新たな専用車両の開発が求められます。
そこでイタリア軍は高い積載能力と、高速走行性能、長距離行動性能を併せ持つ特殊車両の開発を、フィアット傘下のSPA社とヴィベルティ社に命じます。こうして両社は1942(昭和17)年春から共同開発をスタートしました。
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