武装ジープに似た車両を作れ! 機動力マックスな砂漠の忍者「サハリアーナ」

第2次大戦に参戦したイタリア軍は、北アフリカ砂漠で敵の長距離偵察車に翻弄されます。そこで同様な兵器を求め新たな偵察車を開発したところ高性能を発揮。イタリア特殊部隊が愛用した専用設計の特殊車両を振り返ります。

灼熱と厳寒、真逆の戦場で真価を発揮

 こうして誕生したAS42「サハリアーナ」偵察車は、イタリア陸軍に新設された空挺コマンド部隊である第10突撃空挺連隊の長距離偵察中隊に配備されます。そして1942(昭和17)年後半から北アフリカ戦線に送られ、長距離偵察に高い能力を発揮。その後のチュニジアへの後退戦では、重武装を活かして直接戦闘に投入されています。

 さらに1943(昭和18)年9月のイタリア休戦以降は、降伏を潔しとしない元第10突撃空挺連隊の第112偵察車中隊残余が、戦い続けるドイツ軍と合流して、11月にドイツ空軍第2降下猟兵師団にイタリア人空挺義勇偵察部隊として偵察車ごと配属されます。そしてロシア戦線に送られ、厳冬のウクライナ戦線でソ連軍相手に数多くの危険な偵察作戦に従事しました。

 イタリア兵達の旺盛な戦闘意欲はドイツ軍からも賞賛され、同時に砂漠仕様で開発された「サハリアーナ」偵察車は寒冷地でも見事に作動して、高い性能を証明したのでした。

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1943年から翌年の冬にドイツ降下猟兵の軍装でウクライナで戦う元イタリア陸軍空挺の兵士。写真のAS42は、側面上部の携行缶ラックが物品箱になった後期型。イタリア休戦以降のため、ナンバー前部のR.E.(王国陸軍)の文字が削られている(吉川和篤所蔵)。

 このように、AS42偵察車は、短い期間ではあったものの、南の砂漠での戦いから、北の極寒で戦闘まで、環境が全く異なる二つの戦線に投入されてもその能力を存分に発揮しています。また、その先進的なデザインや運用は、大戦後の各国装輪装甲車や兵員輸送車両の開発にも大きな影響を与えたといわれており、本国イタリアでもボディの塗色を変えて1954(昭和29)年まで警察で使用されていたと記録されています。

【了】

【写真】異なる武装で互いをフォロー 砂漠で戦うAS42偵察車ペア

Writer:

1964年、香川県生まれ。イタリアやドイツ、日本の兵器や戦史研究を行い、軍事雑誌や模型雑誌で連載を行う。イラストも描き、自著の表紙や挿絵も製作。著書に「九七式中戦車写真集」や「イタリアの中戦車・重戦車写真集 」、「イタリア軍写真集」など。

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