電車や機関車の「前」ってどっち? 判別の決め手は「車体の数字」
JRの機関車や電車をはじめとする鉄道車両には車体に数字の「1」「2」を標記しています。これは規定を基にしたものですが、機関車とそれ以外の車両ではその意味が若干異なります。
JRの車両は国鉄時代の規程を基に
JRの車両を見ると、機関車の車体の下のほうには四角囲みの「1」「2」、電車、気動車、客車といった旅客車と貨車には丸囲みの「1」「2」の数字が標記されています。この数字はいったい何を意味するのでしょうか。
答えを言ってしまうと、この数字は車両の前後を表すものです。JRの車両は1960(昭和35)年6月10日に十河信二 日本国有鉄道(国鉄)総裁が通達した「車両各部分の位置の称呼規程」を受け継いでいます。しかし、同じ数字の「1」「2」でも機関車とそれ以外の車両とではその意味が若干異なります。
機関車にある四角囲み「1」「2」の意味
「車両各部分の位置の称呼規程」の第2条では、蒸気機関車は煙突がある側、電気機関車は主たる運転用操作機器のある運転室側が前(前位)となります。ディーゼル機関車は、運転台が中央にあるものは車内において車端に向って運転士席が左側となるときの前方が前位ですが、運転室が両側にある場合は、主たる運転用操作機器のある運転室側が前位と決められています。
蒸気機関車は煙突がひとつしかないためどちらが前かすぐにわかりますが、電気機関車とディーゼル機関車はパッと見てどちらが前かを判別することができません。そこで電気機関車とディーゼル機関車は前位側の左右に「車端番号板」と呼ばれる四角囲みの「1」を、後ろ(後位)側の左右に「2」の板を取り付けています(近年の機関車は車体に直接標記)。四角囲みの「1」がある前位側を「1エンド」、「2」がある後位側を「2エンド」とも言います。
ちなみに、JR貨物が導入した2車体連結のEH200形電気機関車「ECO POWER ブルーサンダー」やEH500形電気機関車「ECO-POWER 金太郎」は、車体側面下だけでなく運転室部分にも「1」「2」と標記しています。かつてJR貨物篠ノ井総合鉄道部(現・塩尻機関区)とJR東日本長野総合車両所(現・長野総合車両センター)に所属していたEF64形電気機関車は、前面の貫通扉下に「1」「2」の標記をしていたことがあります。
同じ車両(編成)の運転台でも1位、2位、片側にしか無いスイッチとかもありますね。
小田急は側面ではなく妻面に前位の1と後位の2を標記してて、国鉄の客車に似てるなあと思います。
東武や名鉄などは車両に向きの標記はしてないですが、台車を見ると番号が書かれてありこれで向きがわかるようになっているようです。
それ以外にも乗降扉の車内側にはJRや一部の私鉄では前から順番に位置を表すステッカーが貼られていますね。これもJR東日本や東武などのようにアルファベットのABを併記した書き方や、小田急や西武のように両開き扉でも1箇所で1つの同じ数字をあたるパターンや、国鉄車やJR東海・四国・九州のように両開き扉でも1枚1枚に順番に番号をあてているパターンがあったりと多種多様で面白いです。