米「航行の自由作戦」対馬海峡での対象国は日本…なぜ? 同盟国相手でも実施するワケ

アメリカによる「航行の自由作戦」は、南シナ海などの様子を見ると「強引な権利主張に対する正当なる鉄槌」といったイメージかもしれませんが、実はその鉄槌、日本相手にも振りかざされていました。そもそもどういう作戦なのでしょうか。

なぜ同盟国であるはずの日本も対象に?

 じつはこれまで、国防総省が作成した「航行の自由作戦」に関するリストに日本は2度も名を連ねています。しかし、たとえば韓国やフィリピンといったそのほかの同盟国に対しても、同様にアメリカは航行の自由作戦を実施しています。なぜアメリカは同盟国に対しても「航行の自由作戦」を実施しているのでしょうか。

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ウラジオストクが位置するロシアのピョートル大帝湾で「航行の自由作戦」を実施する横須賀配備のイージス艦「ジョン・S・マケイン」(画像:アメリカ海軍)。

 その理由は、アメリカ軍の軍事戦略と密接に関係しています。アメリカ軍は艦艇や航空機を自国から遠い場所にある拠点に前方展開し、世界のどこかで紛争が起きた際にはそれに速やかに対応する態勢を整えています。しかし、たとえばどこかの国が自国の領海や排他的経済水域を他国の軍艦が通過することに関して、過度な制約を設けていたとしましょう。それに対してアメリカが何らの反対も示さなかったとすると、アメリカはこの主張を黙認したとみなされる余地が生じてしまいます。

 そうなれば、当該海域をアメリカ海軍の艦艇が通航することに関して制約が生じてしまい、自国と前方拠点とのネットワークや、さらにそこから世界中の海域への展開に支障をきたす恐れがあります。これは、紛争が発生した際に、アメリカ海軍は当該海域に向かうための最も効率的な航路を通過することができなくなるかもしれないということであり、その結果として遠回りを余儀なくされれば、時間も燃料も余計にかかってしまうことになります。

 そのため、アメリカ海軍はたとえ同盟国であろうと、国際法とは合致しないとアメリカが考える主張に対しては明示的に反対し、平時から有事にかけて、世界中の海域で国際法に則り自由に行動できるよう、航行の自由作戦を実施しているのです。

【画像】日本が主張する対馬海峡周辺の「基線」「領海」

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