国内防衛産業の再編加速か 三井E&S造船の事業整理 苦境の造船再編だけで済まない理由

造船大手の三井E&S造船が事業の整理を進めています。同社を支えてきた艦艇・官公庁船事業を三菱重工に譲渡する一方、商船事業でも常石造船と資本業務提携を締結。苦境に立つ国内造船事業再編の動きが、防衛産業にも及びそうです。

「輸入」に押される防衛産業も再編不可避か?

 防衛省の予算の中で防衛装備品の調達に使用される経費は「物件費」と呼ばれていますが、物件費に占める輸入比率は近年著しい上昇傾向にあります。

 2010(平成22)年時点で物件費の輸入比率は8.0%でしたが、2012(平成24)年に誕生した第2次安倍政権は、同盟国であるアメリカ、事実上の準同盟国であるオーストラリアなどとの相互運用性を重視した結果、防衛装備品の輸入が増加し、2019年度の物件費の輸入比率は27.8%にまで上昇。とりわけアメリカからのFMS(対外有償軍事援助)を利用する防衛装備品の導入増加は顕著で、2019年度のFMS予算額は7013億円に達しています。

 三菱重工業の泉澤清次社長は3月29日に行われた会見の中で、防衛産業は右肩上がりの状況にないという認識を示したうえで、現時点では具体的な話はないものの、将来的に防衛産業のさらなる再編もあり得るとの見解を示しています。

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2021年3月29日に行われた会見で三井E&S造船の艦艇・官公庁向け船舶事業の譲渡契約締結を発表した三菱重、三井E&SHD、三井E&S造船の3社の幹部(竹内 修撮影)。

 外国からの輸入増加だけでなく、少子化によって将来、自衛隊の規模縮小が避けられない状況下で、国内の防衛産業を守るためには、企業の統合によって体力と競争力を強化する必要があると筆者(竹内修:軍事ジャーナリスト)は考えます。また、国内防衛産業の中核的存在である三菱重工業のトップたる泉澤社長が、防衛産業の再編もあり得るという見解を示したことは、国内防衛産業の再編が加速する可能性が高くなったのではないかとも感じています。

【了】

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Writer:

軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。

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