ボーイング737 なぜエンジンが「おにぎり型」? 最初は丸いエンジンだったのに

おにぎり型エンジンはどう変遷?

「鉛筆」エンジンを積むことを前提に作られた737クラシックに、直径が大きいエンジンを積むと、当然そのままではエンジンが地面に触れてしまいます。本来であれば、主脚の長さを長くするのがベストでしたが、設計に時間がかかります。

そのため、737クラシックは、エンジンをできるだけ翼にくっつける形となったほか、エンジン本体外側に付いているギアボックスを左右に移し、エンジンカウル下部を潰すことで対応しました。これが、のちの737シリーズに続く「おむすび型エンジン」の始まりでした。なお、このとき、収納庫などを再設計することで、前脚の長さを約15cm延長、少し高さを稼いでいます。

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TUI航空ベルギーのボーイング737MAX(画像:TUI航空ベルギー)。

 そして、1990年後半には、より大型の767、777のシステムを採り入れ、画面がならぶグラスコックピットを採り入れるなどの改修を施した-600、-700、-800、-900型「NG(ネクスト・ジェネレーション)」がデビューし、これが日本の航空会社では好んで使われるようになりました。このタイプでは、エンジン排気温度が減少したこともあり、より前方に配置することができたため、「クラシック」で見られた「おむすび型」よりは、円形に近づいています。なお、前脚を約9cm延長し、前脚収納庫を前方に移動しています。

 次いで2010年代には、「737MAX」がデビュー。新たな客室仕様を採用したほか、より効率の良い新エンジンが積まれ、操縦システムも改修されました。ただ、これらの改修が一時運航停止を招く2度の航空事故の要因となってしまいますが、2021年4月現在はアップデートされ、同様のトラブルが起こらないようになっているとのことです。実はここでも、前脚が15cmから20cmほど、延長されています。

 なお、737の胴体は、初期タイプから「MAX」に至るまで、大幅な変更はありません。ちなみに、この胴体設計はボーイング初のジェット旅客機707から、JAL(日本航空)やANA(全日空)でもかつて使用された3発機727を経て、737に受け継がれ、757でも採用されたものです。

 ちなみになんですが、日本では「おにぎり型」と呼ばれるこのエンジン、海外では「ライスボール」ではなく、「ハムスター・パウチ(hamster pouch・ハムスターのほほ袋)」とも呼ばれるのだとか。難局が続く737ですが、MAXを含め全機が元気に飛べる日を祈っています。

【了】

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