「◇」から「<」へ 電車のパンタグラフ形状が変化したワケ

電車の屋根上にはパンタグラフが載っていますが、その形状に注目すると、最近の電車は「<」の字型をしている一方、古い電車は「◇」の形をしています。中にはパンタグラフのみを更新する例も。形状が変化した理由は何でしょうか。

周辺環境にも影響を与えるパンタグラフ

 主に上空に張られた架線(電線)から電気を得て走る電車は、屋根の上にパンタグラフと呼ばれる集電装置が付いています。特に都市部の電車だと、JR・私鉄問わずパンタグラフ形状は「<」が主流ですが、古い電車だと「◇」の形をしたものも見受けられます。

Large 20210602 01
変化したパンタグラフの形状(草町義和撮影/写真AC)。

 従来から採用されていた「◇」のパンタグラフは、細い棒を複数組み合わせてふたつの菱形にし、集電舟(架線に擦らせて電気を採り入れるための部品)を支える構造です。一方の「<」は「シングルアーム」と呼ばれ、1本の棒が途中で折れるような構造です。菱形に比べ部品の数が少ないシングルアームは製造費が安くなるほか、構造が簡素化されたことでメンテナンスが容易になるというメリットがあります。

 また部品数が少ない分、重量が軽くなり、車両全体の軽量化を図ることも可能に。車両が軽いとレールに与えるダメージも少なくなり、線路のメンテナンスにかかる費用も抑えられます。以上の点から、古い電車であれパンタグラフを「◇」から「<」へ更新する例もあります。

 そのほか、高速走行する電車の場合もシングルアームの方が好都合です。構造物が多い菱形は、走行中に受ける空気抵抗が大きくなります。電車が速く走れば走るほど、空気抵抗によって生じる騒音も大きくなってしまうのです。騒音を抑えられるという点も、シングルアームが普及した理由のひとつでしょう。

 ちなみに架線は必ずしも同じ高さで張られているわけではありません。例えば踏切では、トラックが架線を引っかけないよう高く設置されているほか、トンネルでは掘削断面を小さくするために架線も低く設置されています。パンタグラフには、随所で架線の高さが変化しても、集電舟が架線から離れないようにするための性能が求められています。

【了】

【写真】変わり種! 1両に「◇」「<」両方を載せた電車

最新記事

コメント

2件のコメント

  1. 軽量化なんて車両全体の重さからすれば物の数ではないような気が

  2. 特許期間の関係で採用できなかったからではないかと。

記事ランキング

  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. “まるで高速”な無料バイパス「全線4車線化」へ変貌開始! 一部の上下線分離まもなく 対面通行を解消 国道8号
  3. 「危なすぎる!」阪神高速“中の人”がブチギレ!? “衝撃動画”とともに呼びかける「ドライバーが守るべき3つのこと」とは
  4. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  5. ウクライナ軍の「1000機の無人機」がモスクワの製油所を襲撃!“タンクが吹き飛ぶ瞬間”を捉えた映像を大統領が公開 今後の影響は?
  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. あと1年足らずで「現金でバス乗れなくなります」 全路線“完全キャッシュレス化”疑問に応えるサイト開設 京王バス
  3. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  4. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  5. 「“再有料化”でいいから4車線化して」→普通車280円になって1年 利用者負担で勝ち取った“効果”あきらかに 八木山バイパス