なぜ「超音速旅客機」は少数派だった? 騒音&燃費以外にも高いハードル 軍用も少数のワケ

ユナイテッド航空の発注で再度脚光を浴びた超音速旅客機ですが、実はこれまで実用化されたものは「コンコルド」など2モデルのみです。実は歴史を振り返ると、実用化には、騒音や燃費だけではない難しさがあるようです。

「設計」の面から考える「超音速旅客機」の難しさとは?

 超音速飛行における困難性は、マッハ1を超える前後で空気の流れが劇的に変わることにあります。いわゆる「音の壁」として知られているものです。

 音は、空気を介して空間を移動します。つまり音速とは、「空気の変化(圧力変化)が伝わる速度」といいかえることができるのです。音速を超えるとなると、機体の設計に抜本的な改革が必要になります。

 かんたんに言えば機体が前進する際、機首の部分にある空気は前に押し出されることになります。ただ超音速飛行、つまり押し出される空気より速く機体が前進するとなると、そこに空気がたまってしまいます。これを強力なエンジンを使って力技で押しつけるか、機体の形状を最適化することで逃がしてあげるかという手段で対策します。ただ、この対策によって、主翼から発生する機体を持ち上げる力の発生メカニズムも劇的に変わってしまうのです。

 そのため、超音速飛行には、大きな加速力を持つエンジンと、超音速前後の空気から及ぼされる力に対する変化に耐える強度が必要となり、それを克服する設計が不可欠です。それまで培ってきたジェット旅客機の設計から、大きな変更を迫られるということになります。

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「コンコルド」のエールフランス仕様機(画像:Simon_sees[CC BY〈https://bit.ly/2Z0AaSy〉])。

 ちなみに、航空機の場合、超音速飛行が可能な機体と、超音速で巡航できる機体は全く異なるといってよいでしょう。実は一定の時間マッハ1を超えて飛行する飛行機はありますが、「コンコルド」のように長時間(1時間以上)超音速で巡航(スーパー・クルーズ)できる能力のある飛行機は、軍民見渡しても限られています。

 現時点では、スーパー・クルーズが可能な機体は軍用機でも20モデルほどしかありません。マッハ3を叩き出した世界最速機、アメリカ空軍の高高度偵察機SR-71を始め、Mig-25(ソ連)、B-58(アメリカ)、TSR-2(イギリス)、XB-70(アメリカ)など、近年ではアメリカのF-22、欧州のタイフーン、ラファール、サーブ39グリペンといったモデルがこれにあたります。

※ ※ ※

 半世紀の時を経てブームが「オーバーチュア」で再び実用化が進む超音速旅客機。現在は、それに先駆けて試作機「XB-1」が公開され、2021年にこれが初飛行する予定です。ブームは「オーバーチュア」が騒音レベルも低く、燃料効率も良いとアピールをしており、その面においても「コンコルド」と比べても大きな進化が期待されます。

【了】

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Writer:

成田空港隣の航空科学博物館元学芸員。日本初の「航空関係専門学芸員」として同館の開設準備を主導したほか、「アンリ・ファルマン複葉機」の制作も参加。同館の設立財団理事長が開講した日本大学 航空宇宙工学科卒で、航空ジャーナリスト協会の在籍歴もある。

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コメント

1件のコメント

  1. コンコルドも マッハで飛行するには

    アフターバーナーのハイパワーのエンジンが必要

    細い飛行機は定員100人

    ロンドンやパリからニューヨークまでの

    大西洋しか飛べない

    燃費に悪いエンジン

    今の旅客機は

    ターボファンエンジンで

    低燃費で長距離が飛行可能

    F22はスーパークールズが可能だけど

    エンジンはかなりターボジェットに

    近いエンジン‼️

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