旅客便「コードシェア」ってナニ? コロナ禍で再注目「航空業界の革命児」になった過去
ANAとピーチが開始することで注目が集まる「コードシェア」、これはどういったものなのでしょうか。利用者にとっては悩みのタネともなりえるこの概念、歴史を振り返ると、さまざまな革命を起こしています。
ANA/ピーチが開始することで注目される「コードシェア」
2021年6月、ANA(全日空)とLCC(格安航空会社)のピーチ・アビエーションが、成田空港と中部空港を発着する一部路線で、「コードシェア」を開始すると発表しました。この、コードシェアとは一体どのようなものなのでしょうか。
この「コードシェア」の一般的な概念を一言で言うと、「ある旅客便の一部の座席を、別なエアラインが買い取り、独自で販売する」ことを指します。このとき、飛行機を始め乗員なども、運航会社のリソースが用いられるのが一般的です。先述の例では、ピーチが運航する一部便の座席を、ANAが販売するというスタイルです。
たとえば、出発ロビーの電光掲示板で、自分の搭乗する便のゲートや出発状況などを確認する際、ある便の表示の周辺に、同じ行先や出発時刻で、他社の便名が記載されていることがあります。これが、コードシェアです。
現代のコードシェアでは、1社だけでは座席を満席にできない路線や便における搭乗率向上などが期待されます。また、ネットワークの拡充という面においてもメリットが。こうした共同運航は、新規路線に参入したい航空会社が、地上設備や人員などのコストをかけずに就航できるほか、海外の航空会社が他国の国内線を運航できない(カボタージュ)規制のなかで、この仕組みにより他国の国内線に自社便名を付与することができる――などなど、航空会社にとって、強力な戦略のひとつになっているといえるでしょう。
「コードシェア」という現代にも通じる用語が生み出されたのは、1989(平成元)年から翌年にかけてです。オーストラリアのカンタス航空と、アメリカン航空が、2国間のネットワークを拡大すべく提携関係を結んだのが始まりです。2社のコードシェア便は、1990(平成2)年から開始されています。
ただ、コードシェアという名称の提携関係が始まる以前にも、「共同運航」という概念は存在していました。共同運航の発祥は、1967(昭和42)年。アメリカのアレゲニー・エア(のちにUSエアと改称)が、地方のコミューター航空と提携したことと記録されています。
先日ベラルーシのミンスクに着陸させられたライアンエアー機はルフトハンザとのコードシェア便でしたよね…