旅客機で世界初「手を触れずに出られるトイレのドア」どう実現? ANAに聞く挑戦の裏側

ANAの国内線機ボーイング787で導入が進んでいるのが、「手を触れずに出られることのできる化粧室の扉」です。世界初というこのアイテム、どのように生まれ、装備されたのでしょうか。同社で開発・実装作業の中心となった担当者に、話を聞くことができました。

実は大変!? 「手を触れずに出られるトイレ」が当局お墨付きをもらうまで

――手を触れずに出られるトイレのドアが実機で採用されるまで、どのような経緯があったのでしょうか?

 まずはジャムコさんに依頼し、試作品を7つほどつくりました。普段の生活でひじなどを使ってドアを開けることはなかなかないので、『ひじを使ってハンドルを引く』ことをお客様にご理解いただけるデザインを考えるのに試行錯誤を重ねました。実は当初考えられたドアのハンドルは、ただの板のようなものだったのです。ただ、ジャムコさんでの検証結果では、それでは押してしまうことが多いという結果となりました。次は、丸いつり革のようなデザインにしてみると、握ってしまうという結果になりました。このような試行錯誤の結果、現在のようなデザインに落ち着いたのち、ANAラウンジで検証し、お客様からの意見を集めることになったのです。

Large 20210711 01
ANA整備センター技術部 客室技術チームの渋谷英史さん(2021年7月、乗りものニュース編集部撮影)。

――ラウンジでの検証後、機内への実装に向けた段階で、苦労したポイントなどはありましたか?

 ハンドルのデザインは、12月に最終確定しました。ただ、航空機に装着する部品には、技術的に厳格な要件があります。たとえば耐火性や強度などが、日本の航空局やFAA(アメリカ連邦航空局)、機体製造メーカーの求める基準をクリアしなければならないのです。耐火性についてはこれまで使用実績のある素材を使うことでクリアできましたが、強度の面をクリアするのには、苦労しました。このハンドルは、発想自体が世界的にも初めてなので、もちろん、誰もやったことがありませんでした。

――ハンドルの強度は、どのような基準が必要となるのでしょうか?

 たとえば、強度の試験のひとつに過重をかける『アビューズロードテスト』というものがあります。ここでは、押す、引く、上下とそれぞれの方向に負荷をかけるのです。上下方向の基準は比較的容易にクリアできた一方で、押す、引く方向の基準をクリアするのにかなり苦労しました。最終的にハンドルのベースとつなぐ部分を強化することで解決しました。

【格納庫独占潜入!】写真で見るANA「ひじ開けトイレ」ができるまで(16枚)

最新記事

コメント

記事ランキング

  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. “まるで高速”な無料バイパス「全線4車線化」へ変貌開始! 一部の上下線分離まもなく 対面通行を解消 国道8号
  3. 「危なすぎる!」阪神高速“中の人”がブチギレ!? “衝撃動画”とともに呼びかける「ドライバーが守るべき3つのこと」とは
  4. ロシアのミサイル部品工場が「大炎上」 ウクライナ軍の航空機から発射した巡航ミサイルが「直撃」か
  5. ウクライナ軍の「1000機の無人機」がモスクワの製油所を襲撃!“タンクが吹き飛ぶ瞬間”を捉えた映像を大統領が公開 今後の影響は?
  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. あと1年足らずで「現金でバス乗れなくなります」 全路線“完全キャッシュレス化”疑問に応えるサイト開設 京王バス
  3. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  4. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  5. “まるで高速”な無料バイパス「全線4車線化」へ変貌開始! 一部の上下線分離まもなく 対面通行を解消 国道8号