ポーランド なぜいま「エイブラムス」? 米最新戦車を大量購入 考えうるふたつの事情
東西の代表的戦車が並ぶポーランド なぜいま「エイブラムス」なのか
東側から西側へ「鞍替え」しましたが、ポーランド軍の兵器や装備はまだ旧ソ連製が多く残っています。NATO標準に更新したいところですが、それには大変なコストと時間が掛かります。戦車もまだ旧ソ連製のT-72シリーズが過半数を占めており、旧式化していますが予算の制約もあって、近代化改修してPT-91という形式で運用を続けています。
T-72の更新としてポーランド陸軍が導入したのは、ドイツの「レオパルド2」です。レオパルド2A4バージョンを130両、レオパルド2A5バージョンを105両購入しました。さらに2A4はポーランド版近代化改修型レオパルド2PLの準備を進めています。ポーランド陸軍の「虎の子」です。
そして今度は、アメリカからM1A2「エイブラムス」を買い入れるというのです。取得するM1A2は、第18機械化師団の第1機甲旅団「ワルシャワ」と第19機械化旅団に配置されます。同師団はレオパルド2A4と2A5を優先して受け取っていた第一線部隊です。
レオパルド2の追加購入ではなく、なぜM1A2という選択になったのでしょうか。T-72シリーズ、レオパルド2シリーズにM1A2「エイブラムス」という3本立ては、ランニングコスト的にも不利に思われます。
たとえばT-72とレオパルドはディーゼルエンジンですが、M1A2はガスタービンエンジンで、使用する燃料が違います(M1A2は一応、軽油も使用できますが通常は航空機用ジェットエンジンと同じJP-8を使います)。ましてやM1A2は燃料を「バカ食い」する燃費の悪さもあり、兵站には負担になります。
それでもM1A2を購入する理由は、2015年に登場したロシアのT-14に対抗できて、すぐに手に入る戦車の選択肢が少ないということです。ポーランドもドイツとフランスが共同開発している次世代のヨーロッパ標準主力戦車(MGCS)に関心を示していますが、完成まで時間が掛かります。
ポーランド侵攻に備えてのことだろう、きっと