【空から撮った鉄道】ちょっと前に撮影した大手私鉄、京王電鉄 その10年前の光景

京王電鉄は新宿を起点とした1372mm軌間の本線系統と、渋谷を起点とした1067mm軌間の井の頭線があります。京王電鉄は調布飛行場からもっとも近くにあって身近な存在。2009年から2012年までのちょっと前の姿をお見せします。

この記事の目次

・二種類の軌間を持つ関東大手私鉄
・京王電鉄は身近な存在
・10年で大きく変わった京王線
・井の頭線の方は?

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二種類の軌間を持つ関東大手私鉄

 京王電鉄はいくつかの路線から構成されます。新宿~京王八王子間37.9kmの本線系統である京王線、北野~高尾山口間8.6kmの高尾線、調布~橋本間22.6kmの相模原線、東府中~府中競馬正門前間0.9kmの競馬場線、高幡不動~多摩動物公園間2.0kmの動物園線、渋谷~吉祥寺間12.7kmの井の頭線。全路線84.7kmです。

 京王電鉄最大の特徴は1372mm軌間を採用した珍しい大手私鉄です。この軌間は明治初期の東京馬車鉄道が採用したことから“馬車軌間”とも呼ばれ、この幅を採用しているのは、都電、東急世田谷線、函館市電、京王電鉄、相互乗り入れをする都営地下鉄新宿線です。少数派の軌間であり、鉄道線では大手私鉄唯一の存在となっています。なお京王井の頭線は元々「帝都電鉄」という別会社であったため1067mm軌間を採用しており、京王電鉄は二種類の軌間を持っています。

京王電鉄は身近な存在

 私は子供のとき京王線沿線に住んでいました。京王電鉄が身近な存在であり、自ずと京王ファンでもありました。1980年代はまだ会社名が京王帝都電鉄で、バンザイした人が上下にくっつくような社紋を見ながら、「あれは何でバンザイしているんだろう」と不思議に思っていました。

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調布~西調布間を行く晩年の6000系の各駅停車高尾山口行き。6000系は都営新宿線乗り入れを前提に1972年に登場。2011年まで39年にわたって使用された。(2009年9月10日、吉永陽一撮影)。

 古い車両はうっすらと緑色の2700系や1800系の記憶があります。3000系のパイオニアIII台車がやけに揺れたこと、ホームにいると5000系の床下機器が鉄くさかったこと、6000系の「迎光」ヘッドマークがカッコよく、7000系のステンレスボディに対しては「ついに京王もステンレス時代が来るのか!」と、鉄道仲間とどよめいていました。

 思い出を語ると、この記事が膨大な量になってしまうので、この辺でやめます。空撮するようになってから、思い出の多い京王電鉄にはレンズを向けてきました。というよりも、ベースの調布飛行場を離陸したら、西武多摩川線の次に京王線へ出会います。毎度京王線に沿って飛行することが多いため、成り行きで空撮が多くなっていったのです。撮影場所は偏っていますが……。

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Writer: 吉永陽一(写真作家)

1977年、東京都生まれ。大阪芸術大学写真学科卒業後、建築模型製作会社スタッフを経て空撮会社へ。フリーランスとして空撮のキャリアを積む。10数年前から長年の憧れであった鉄道空撮に取り組み、2011年の初個展「空鉄(そらてつ)」を皮切りに、個展や書籍などで数々の空撮鉄道写真を発表。「空鉄」で注目を集め、鉄道空撮はライフワークとしている。空撮はもとより旅や鉄道などの紀行取材も行い、陸空で活躍。

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