アフガニスタン脱出 邦人保護に自衛隊なぜ派遣できない? 米軍展開の根拠と比較

アフガニスタン情勢の急変を受け、日本大使館員の脱出は「友好国の軍用機」によるものと伝えられました。今回、自衛隊に出番がなかった理由と、アメリカ軍が他国で軍を展開できる根拠がどこにあるのか、法的観点から解説します。

自衛隊が実施する「在外邦人等輸送」と「在外邦人等保護措置」

 今回、日本政府は自衛隊をアフガニスタンへ派遣していませんが、自衛隊も海外で危険に瀕している日本人を国外に退避させるための措置を講じることができます。それが「在外邦人等輸送」(自衛隊法第84条の4)と「在外邦人等保護措置」(自衛隊法第84条の3)です。

 在外邦人等輸送は、外国で災害や暴動といった緊急事態の発生により治安が悪化した場合に、外務大臣から防衛大臣に対する依頼を通じて、自衛隊がその国にいる日本人および特定の外国人を国外に退避させるというものです。ただし、この措置を実施するに際しては、現地の治安状態が、輸送を実施する航空機や車両の運行を安全に行うことができる状況にあることが前提とされています。

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タイで実施された多国間共同演習「コブラゴールド2012」にて、NEOの訓練に参加する陸上自衛隊員(画像:アメリカ海兵遠征軍)。

 一方で在外邦人等の保護措置は、外国における緊急事態に際して、日本人および特定の外国人の生命や身体の安全が脅かされた際に、外務大臣から防衛大臣に対する要請を通じて、自衛隊がこれを保護するものです。在外邦人等の保護措置を実施するケースというのは、たとえば現地の治安当局などが日本人の安全を確保できていないような場合や、輸送を実施するに際して必ずしも道中の安全が常に確保されているわけではない場合などで、領域国の警察権を補完する形で、上述の在外邦人等の輸送よりも危険な状況下で日本人を保護することができます。

 両者の大きな違いとして、在外邦人等の輸送に際して自衛隊は自分自身や自分の管理下に入った人の生命を守るための武器使用(自己保存型武器使用)しか認められていませんが、保護措置に際してはこれに加えて任務の実施を妨害する行為を排除するための武器使用(任務遂行型武器使用)を行うことができる点が挙げられます。

【アフガニスタンを脱出する輸送機の機内の様子】

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