米軍「飛行機で台風に突っ込むのやめる」 台風観測を引き継ごうとした気象庁 爆撃機ベースで
気象衛星も富士山レーダーもない時代、日本の台風観測にアメリカ空軍の気象観測機が重用されていました。そこで気象庁は自衛隊と協力して日本独自の観測機を持とうと考えました。その導入計画の顛末を振り返ります。
在日米軍機が台風観測をしていた時代
昔から台風に悩まされる日本。気象庁の1991年から2020年までのデータによると、上陸する台風だけでも年間で約11個もあるといいます。そのため、上陸せずとも日本列島に接近するものまで含めると25個にものぼるといい、実際2021年8月上旬には3個の台風が同時に日本に接近したのも記憶に新しいところです。
そのなかで現在、気象庁や民間の気象予報会社なども含め、台風の進路予測に用いられているのが、気象衛星「ひまわり」を始めとした衛星からの観測データです。これにより、かなり精度の高い進路予報が発表され、防災にも役立てられています。では、「それ以前」はどうだったのでしょうか。
日本で気象衛星による観測が始まったのは1978(昭和53)年。それより以前には、アメリカ空軍が飛行機を台風に突入させて観測する時代がありました。そしてその任務には、長時間、高々度を飛行可能な大型の戦略爆撃機を改造したものが用いられていました。
今から約60年前、その戦略爆撃機改造の「気象観測機」を日本がアメリカから引き継ぎ、独自に運用する計画が進んでいました。最終的には実現しませんでしたが、どんな機体をどのように運用する予定だったのか、そして断念した理由を見てみます。
???「第4エンジンに愛着はないな!?」