米軍「飛行機で台風に突っ込むのやめる」 台風観測を引き継ごうとした気象庁 爆撃機ベースで

気象衛星も富士山レーダーもない時代、日本の台風観測にアメリカ空軍の気象観測機が重用されていました。そこで気象庁は自衛隊と協力して日本独自の観測機を持とうと考えました。その導入計画の顛末を振り返ります。

さすが大型機 運用コストが桁違い

 この気象庁の協力要請とは別に、防衛庁でも「気象観測は将来的に検討すべき」という認識があり、ほぼ同時期、1964(昭和39)年3月に防衛庁は幹部5名と空曹3名をアメリカ空軍に派遣して基礎教育を受けさせています。さらに6月から10月の台風シーズンには、WB-50に自衛官を搭乗させての実地訓練も計画されていました。

 機材の購入費はWB-50が1機約4億7千万円、WB-47が1機約12億円と見積もっており、それ以外の周辺装備や整備費用など含め、全部で約200億円が必要と試算されました。なお、この金額は当時の主力戦闘機F-104J「スターファイター」約45機分に相当する巨額です。

 この計画がその後どうなったのか、詳細は不明ではあるものの、日の丸を付けた機体が生まれなかったことなどから中止となったのは確かです。

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台風の目にドロップゾンデを投下するWB-50のイメージイラスト(リタイ屋の梅作画)

 また予算面もさることながら、最大で全長23m、離陸重量2tの双発レシプロ輸送機・カーチスC-46までしか運用したことのない航空自衛隊が、全長33m、離陸重量56t以上、ジェットエンジン6発のWB-47を果たして使いこなせたのかというと、怪しかったといえるでしょう。

 一方、WB-50については原型がB-29であるため、WB-47より小さいとはいえ空襲の記憶もまだ生々しい当時、B-29にそっくりの姿である同機に日の丸をつけて飛ばすことに抵抗感がなかったのかというと、これもまた不明です。

 その後、アメリカ空軍機による気象観測はグアムを拠点に続けられましたが、経費と安全面の問題から1987(昭和62)年8月に中止されています。

 現在は、気象衛星の画像から台風の気圧や風速を推定しています。しかし直接観測の方が精度は高いとして、さまざまな国の気象機関や大学による航空機台風観測プロジェクトも実施されています。

 近年は「スーパー台風」など台風の大型化が心配されています。防災・減災のため、ドローンやスーパーコンピューターなどを含め、台風観測のさらなる精度向上が期待されます。

【了】

※一部修正しました(8月23日10時22分)。

【B-29のそっくりさん】WB-50の原型、B-50「ストラトフォートレス」ほか

Writer:

1967年生まれ。「昭和30~40年代の自衛隊と日本の民間航空」を中心に、ミリタリーと乗りもののイラスト解説同人誌を描き続ける。戦後日本史も研究中。

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1件のコメント

  1. ???「第4エンジンに愛着はないな!?」

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