ケーブルカーから“人力”まで 変わり種の乗りもの「坂道シリーズ」5選 登った先には何が
斜めに進む乗りもので、住宅街に「再生する細胞」を呼び込めるか?
高低差を克服する乗りものには、エレベーターもあります。
住宅街の強い味方? 「斜行エレベーター」
その名の通り、搬器が斜めに坂を登る「斜行エレベーター」は、山の斜面を拓いた郊外の住宅団地でよく見られます。
1984(昭和59)年に日本で初めて斜行エレベーターが導入された神戸市北区の「花山東団地」は、最寄り駅から団地の中央部までは500mほどですが、約200段の階段を上るような高低差が、駅と団地とのあいだの移動を困難にしていました。「スカイレーター」の通称を持つ斜行エレベーターは山肌を32度という急な角度で登り、高低差と距離の問題を一気に解決に導いたのです。常に新しい入居者を呼び込み、街を再生させるためにも、うってつけの乗りものといえるでしょう。
その後、斜行エレベーターは住宅用に限らずさまざまな場所で導入が進み、1985(昭和60)年に導入された兵庫県尼崎市の商業施設「つかしん」では当初、物珍しさから長時間の乗車待ちを余儀なくされたほどです。このほか弥彦山駐車場(新潟県)などでも導入されているほか、横浜市の「ルネ上星川」では、斜面に沿った集合住宅に溶け込むようなデザインがなされるなど、工夫も凝らされています。
カーブもいけちゃう!「スカイレール」
広島市安芸区では、全国でここにしかない交通機関「スカイレール」が運行されています。1998(平成10)年、ロープウェイとモノレールを組み合わせたようなシステムとして誕生したこの乗りものの強みは、何といっても「急坂をのぼる力・速度」「カーブを曲がる力」にあります。
スカイレールが通じるのは、その名も「スカイレールタウンみどり坂」という山の斜面に横に長く広がった住宅街。坂の下にある「みどり口駅」(JR山陽本線 瀬野駅に併設)を出たスカイレールは最大263パーミル(約15度)、ケーブルカー以外では国内最急勾配で山を登ると大きく左側に進路を変え、その後も最大30度ものカーブを描いて終点「みどり中央駅」を目指します。横に広い街をカバーするコース設定は、ケーブルカーや斜行エレベーターではできなかったことでしょう。
スカイレールタウンみどり坂の人口は約7000人。朝には瀬野駅を目指す通勤・通学客でいっぱいになります。なおスカイレールは、法律上は“鉄道”の一種です。
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