ケーブルカーから“人力”まで 変わり種の乗りもの「坂道シリーズ」5選 登った先には何が

国土面積の多くを山が占める日本では、勾配を克服するための乗りものが欠かせません。実はそれも多種多様。観光地や住宅地など、地形と乗る人に合わせて工夫された乗りものが適材適所でつくられています。

鉄道じゃないけど「おぼえてください 顔と名前」

 鉄道のように見えて、そうではないものもあります。

エレベーター? 鉄道? 「スロープカー」

 東京都北区の飛鳥山には、JR王子駅前から山の上まで、細いレールに乗って動くモノレールのような乗りもの、通称「アスカルゴ」があります。これは「スロープカー」と呼ばれる乗りものです。

 レールにまたがるその外見は跨座式モノレールそのものですが、車体の中はほぼそのままエレベーターです。乗客のボタン操作だけで動かせるので運転手などは不要、しかも法律上は斜行エレベーターの一種として区分されているため、その見かけに反して一般的な鉄道ではありません(「多量輸送をしない」「施設の敷地内輸送に限る」などの条件がある)。

 鉄道事業者としての準備が不要、かつ車両のサイズや設置条件は柔軟で、先が見通せない螺旋のようなコース設定も可能。このためスロープカーは、福岡県「皿倉山展望台」や香川県「ベネッセ直島」といった観光施設から個人宅まで、この20年で一気に普及しました。速度が出ないこともあって、公園内などの高低差をクリアするにはちょうどいい乗りものではないでしょうか。

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徳島県鳴門市にあるスロープカー「すろっぴー」。写真は初代車両(宮武和多哉撮影)。

踏み出そう電動アシストで!「団地タクシー」

 東京都八王子市の丘陵地に築かれた「館ヶ丘団地」では、住宅棟からバス停やスーパーへの往復が辛くなってきた高齢者のために、「団地タクシー」という住民向けサービスが行われています。その車両は、3輪の電動アシスト自転車に屋根を付けるなどの改造を施したもので、言うまでもなくメインの動力は「人力」です。

 1975(昭和50)年に管理が開始されたこの団地は、住民の高齢化が進んでいることもあって「団地タクシー」がないとなかなか出かけられない人もいるそう。自転車の漕ぎ手は、自治会や高齢者支援施設のスタッフ、大学生ボランティアなどがつとめ、「◯◯さんは元気だろうか」と、高齢者の見守りにも活用されています。地域の活動が盛んな場所ならではの取り組みと言えるのかもしれません。

※ ※ ※

 多くの人々が苦心して登った急な勾配を、さまざまな工夫が詰まった乗りもので登ってみてはいかがでしょうか。坂道の先には、「キュン」とするような絶景が待っているかもしれません。

【了】

【人力!】坂道を克服する「タクシー」ほか 変わり種の乗りものを画像でチェック!

Writer:

香川県出身。鉄道・バス・駅弁など観察対象は多岐にわたり、レンタサイクルなどの二次交通や徒歩で街をまわって交通事情を探る。路線バスで日本縦断経験あり、通算1600系統に乗車、駅弁は2000食強を実食。ご当地料理を家庭に取り入れる「再現料理人」としてテレビ番組で国民的アイドルに料理を提供したことも。著書「全国“オンリーワン”路線バスの旅」など。

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