撃ったら逃げろ! 世界的にも激レアな対戦車装備「60式自走無反動砲」のレアなワケ
なぜ60式自走無反動砲のような車両が必要だったのか
なぜ、このような世界的に見てもユニークな車両が、対戦車車両として採用されたのでしょうか。それは当時の、自衛隊の考える戦法が関連しています。
当時は東西冷戦の初期で、仮にソビエト連邦などの車両が本土に侵入した場合は、数に勝る相手から防衛をしなければいけない関係上、直接砲火を交えるのではなく、目標戦車から発見されずに、日本本土の地形の起伏を利用し、待ち伏せで目標を撃破することをおもな戦い方としていました。そのため車高は1.38mとかなり低くなっています。
これは後の61式戦車でも共通している点で、砲塔以外を隠し車体を防御する「ハルダウン」という戦い方をするために、砲塔の装甲を車体より分厚くしています。しかし、60式自走106mm無反動砲には、61式戦車のような装甲はなく、アルミ合金製だったため、反撃された場合は無力に等しく、撃ったらその場から即離脱することが必要でした。
そして、生存率を高めるためには確実に目標に砲弾を命中させる必要がありました。しかしその射撃は、まず豊和製の12.7mmスポットライフルで曳光弾(発行体を内蔵した弾丸で、弾道を目視するために用いられる)の光跡による照準を行い、目標に曳光弾が命中したら即、主砲から発射するという手順を踏むものでした。ちなみに自動装てん装置はないため、2発外した場合は装てん手が車外に出る必要があり、敵戦車がいる戦場で再装てんはほぼ不可能です。
誤字
発行体を内蔵した弾丸で
正
発光体を内蔵した弾丸で