沈む英独二大戦艦から生還! 船乗り猫「ブラッキー」と「不沈のサム」の航跡をたどる
太古の昔より、船に猫はつきものでした。そうした猫を「船乗り猫」と呼び、長く船乗りたちのパートナーを勤め、そしてWW2期の軍艦においてもその姿が見られました。乗艦であった戦艦の沈没から生還したという、2匹の猫のお話です。
猫と船に長い歴史あり
1941(昭和16)年5月24日にデンマーク海峡海戦で直接、砲火を交えた、イギリス王室の名を冠する戦艦「プリンス・オブ・ウェールズ」とドイツの「鉄の聖堂」こと戦艦「ビスマルク」。ともに、それぞれの国を代表する戦艦であり、そして猫が乗り組んでいたとのことで、さらにこの二大戦艦はいずれも短命で撃沈されたものの、それぞれの猫は生き残ったといいます。これらの猫たちは勝手に紛れ込んだ「密航者」ではなく、いわゆる「船乗り猫」でした。
猫は古代から船に乗り組んでいました。食料を食い荒らしたり、船具をかじるなどの害をなすネズミの駆除を主任務としつつ、守り神になったり、占い師、気象予報士、メンタルサポート、マスコット、広報など、多くの任務を担う乗組員の一員だったのです。各国海軍の艦艇にも多くの船乗り猫が乗り組んでおり、戦死した猫も少なくありませんし、勲章を授与された猫もいます。
イギリスのスループ艦「アメジスト」の船乗り猫「サイモン」は、戦闘で負傷しながらも乗員を元気付け、その功績で「ディッキンメダル」を授与されています。これは戦争などで功績のあった動物に与えられる勲章で、その受章者は人間に忠実で一生懸命働くイメージのある犬や馬、情報伝達に欠かせなかった軍鳩がほとんどです。猫は気まぐれで群れ(集団行動)に馴染まず軍隊生活には不向きなようで、いまのところ猫ではサイモンが唯一の受章者です。
誰が書いたんだ?「乗り組む」になってるよ。