なぜ電車とバスで同区間を? 東京「鉄道並行路線バス」5選 時間長、本数少…でもバスは便利

私鉄系バス「もうひとつの山手線並行路線」とは?

 山手線の並行路線は、都営バス池86以外にも存在します。

西武バス「宿20」:新宿駅西口~西武百貨店前(池袋駅東口)

 新宿と池袋という西武線の二大ターミナルを結ぶ路線で、新宿から青梅街道を西へ、山手通りを北へ、目白通りを東へ、そして明治通りを北へと、山手線の内外をジグザグに進みます。また、山手通りでは都営大江戸線の地上を走ります。

 練馬区以西を主な営業エリアとする西武バスのなかで、他路線と接続しない独立した系統です。昔はいくつかあった山手線の駅発着の系統で唯一生き残ったものですが、西武グループの本社がある池袋の路線は基本的に継続させる方針だそうです。

小田急バス「宿44」:新宿駅西口~武蔵境駅南口

 JR中央線で20分ほどの新宿と武蔵境のあいだを、75分かけて結ぶ宿44は、都内でもトップクラスの長大路線です。新宿を出たバスは甲州街道や井の頭通りを経由して吉祥寺駅へ向かい、その後は三鷹駅を南へ迂回するように、武蔵境駅の南口までを結びます。

 この路線はもともと東京駅~新宿~武蔵境間で都営バス、京王バス、小田急バスが共同運行していた名残といえるもので、甲州街道沿いのバス停は京王バスと共用です。ただ現在の運行は1日2往復と少なくなっています。

東急バス「渋12」:渋谷駅~二子玉川・高津営業所 ほか

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玉川通り沿いを行く東急バス(中島洋平撮影)。

 鉄道並行路線という点で、東急バスは他社と事情が違います。東急田園都市線の地上、玉川通り(国道246号)は東急バスの大幹線でもあり、渋谷駅へ近づくにつれ、時刻表に書ききれないほどバスがひっきりなしに走ります。

 渋谷駅から玉川通りを西進するバスは、三軒茶屋で世田谷通りへ入るもの、駒沢で住宅街へ入っていくものなどもありますが、渋12系統は玉川通りをひた走り二子玉川へ、さらに一部便は多摩川を渡って川崎市の高津まで直通します。

 渋12は田園都市線の前進、路面電車だった玉川線の代替路線であり、田園都市線が玉川通りから離れて桜新町・用賀を経由しているのをカバーする役割もあります。鉄道は路面電車から地下鉄道になったことで速達性や輸送力は向上したものの、よりこまめに停車していた路面電車の利便性を、バスで確保したといえます。

【了】

【写真】「鉄道と並行するバス路線」の様子をサッと見る

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