紀伊半島を縦断「五條新宮道路」整備進行中 十津川への狭隘道を次々バイパス 進捗は?
和歌山県新宮市から大阪府枚方市に至る国道168号のうち、奈良県五條市から和歌山県新宮市までの約130kmは「五條新宮道路」として道路整備が進められています。狭隘で急カーブの多い現道をトンネルで一気にバイパスする計画、どこまで進んでいるのでしょうか。
ほとんど平地のない谷間をトンネルで抜ける
国道168号は和歌山県新宮市を起点に大阪府枚方市へ至る道路ですが、そのうち新宮から奈良県五條市までは、かつて国鉄が鉄道路線「五新線」を建設していました。残念ながらその鉄道計画は大規模な遺構を残して未完成に終わりましたが、現在このルートに、高規格道路の建設が進んでいます。
「五條新宮道路」という名称のこの高規格道路は、国道168号のバイパス道路建設と現道拡幅により、奈良県と和歌山県を直結する紀伊半島縦断ルートとして、自然災害等に強く、安全に走行できる道路を実現するもの。北から工区順に「辻堂バイパス」「長殿道路」「宇宮原バイパス」「川津道路」「十津川道路」「本宮道路」「熊野川・本宮道路」「日足道路」「越路道路」などから構成されます。
約130kmもの距離を高規格道路にする大プロジェクトですが、現在、その大半が事業化あるいは開通済みとなっています。
最近の話題では、2019年9月に「十津川道路」の平谷~小原間6.0kmが全通。曲がりくねる峡谷沿いの道路を長大トンネルで一気にショートカットするものです。このバイパス道路の開通により、十津川村役場や小原の温泉郷と、平谷の十津川温泉とが直結。所要時間は約30分から約10分へ大幅短縮し、村内移動の利便性が向上しました。他にも、県境付近の七色地区から熊野本宮までの5.4kmのバイパス道路「十津川道路」「本宮道路」が2013(平成25)年までに全通しています。
2021年10月現在で事業中の区間は、北から順番に以下の計5工区と2道路となっています。
・新天辻工区:五條市西吉野町阪巻~大塔町阪本、延長7.2km、トンネル主体、2018年度事業化
・阪本工区:大塔町小代~阪本、延長1.4km、トンネル主体、2014年度事業化
・長殿道路:十津川村長殿、延長2.6km、トンネル主体、2012年度事業化
・風屋川津・宇宮原工区:十津川村宇久原~野尻、延長計6.9km、トンネル主体、2013年度事業化
・十津川道路(II期):十津川村平谷~七色、延長5.6km、トンネル主体、2020年事業化
・相賀高田工区:和歌山県新宮市高田~相賀、延長4.8km、トンネル・橋梁主体、2017年度事業化
工区の大半は平地のない急峻な谷間のため、バイパス道路はいずれも谷筋をトンネルで真っすぐにショートカットするものになっています。新天辻工区~風屋河津工区が全て開通した場合、五條市から十津川村役場までの所要時間は約21分短縮される見込みです。
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