「稼げる高速バスの王道」復活なるか 原点回帰の改革【高速バス新潮流・中距離路線】
片や満席、片やガラガラ 便による「繁閑の差」をなくせ!
運賃設定を工夫する路線もあります。高速バスには、もともと、「繁閑の差」が付き物です。とりわけ高頻度運行する昼行路線では、朝夕の特定の時間帯に需要が集中します。ある便は毎日のように満席だけど、前後の便は空席が残る、というケースも多くあります。
そこで、前年までの乗車実績を元に、乗車日ごと、便(時間帯)ごとに運賃を変える「繁閑別運賃」が増えています。満席確実な便から前後の便に予約を誘導し、「どうしてもその時間帯に乗りたい」人に席を取り置くのです。満席でお断りするケースが減り、市場が縮小するなかでも収益の拡大を見込めます。
さらに精度を高めるため、予約状況をシステムが分析しリアルタイムで運賃を変動させる「ダイナミック・プライシング」も、新宿・池袋~長野線を皮切りに導入が始まっています。京王電鉄バスが運営する座席管理システム「SRS」に追加された機能なので、同システムを導入済みの全国のバス事業者で、具体的な導入準備が続々と進んでいます。
一方で従来、意外と掘り起こせていなかったのが、大都市側から各地への観光需要です。苦戦の理由は、大都市での認知度不足です。
観光客への認知向上には、目的地にあたる宿泊、観光施設による告知が即効性を持ちます。従来は、たとえば富士急ハイランドが富士急行グループの高速バスを公式サイト上などで紹介するなど、グループ会社間での告知が中心でした。今後はそれ以外の施設とも連携を深める必要があります。また、京王バスが予約サイト「ハイウェイバスドットコム」に設けた「初心者にオススメお手軽登山」特設ページのように、提案型の情報発信を行うと同時に、それと対をなす企画乗車券(セットきっぷ)など商品作りを重ねることも有効でしょう。
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