宇宙の食事はかなり豊か! 宗教食も対応 スペースからあげくん? 野口宇宙飛行士に聞く
国際宇宙ステーションには、各国から国籍・宗教・年齢・性別バラバラのメンバーが集まります。長期滞在の場合、閉鎖空間で半年ほどにもなるため、大きな楽しみの一つが飲食。最新の宇宙食事情を野口聡一宇宙飛行士に聞きました。
「食は文化なり」国際交流の一環にも
飲食は個人の好みや属する文化が色濃く出る部分です。同じ場所でずっと過ごすことになると大きな楽しみになりますし、それが地上と変わらないものだったら一層楽しみが増します。現在のISS(国際宇宙ステーション)の食事ではどうなっているのでしょうか。約6か月のISS滞在を終えた野口宇宙飛行士は、実感を込めて語ってくれました。
――宇宙における食べ物の話をお聞きします。ISSには各国から宇宙飛行士が来ていますが、皆さん郷土料理を持ってきたりするのでしょうか。
野口:日本製宇宙食そのものが、日本の郷土料理ですよね。ですから、各国にあります。たとえばヨーロッパの宇宙飛行士さんが来られている時にはヨーロッパ製の宇宙食が送られてきます。フランスなんかはけっこうオシャレな料理でした。アメリカはバーベキューなどが送られてきます。
「食は文化」といいますが、確かにそれこそ各国最大の文化紹介と国際交流の場だと思います。ISSの食卓で「今日は日本食出すから」とか、「今日は○○料理の日ね」みたいに声をかけあって、たとえばロシア料理の日ならロシア人が料理を持ってきてくれる。そういう感じで、仕事が終わってリラックスしながら、それぞれの国の話などをしています。
すると、アメリカ人などが、たとえば宇宙日本食を食べながら「日本に訓練に行ったときにつくばの駅前(※)でこれ食べた!」と言えば、そこから色々と話も弾んでいきます。
(※:この駅は、つくばエクスプレスのつくば駅のことです。日本の宇宙飛行士訓練は茨城県つくば市の筑波宇宙センターを拠点に行われています)
――皆さんが楽しげに食事をしている様子が目に浮かびます。さて、文化のなかには信仰も含まれると思いますが、それに関連する「食のタブー」も気になります。たとえば、イスラム教の宇宙飛行士がISSに行くときは、ハラル食(イスラム教の戒律によって摂取することが許された食品)を持っていくこともあるのでしょうか?
野口:そうですね。実際に2019年にUAE(アラブ首長国連邦)の宇宙飛行士がISSに来ましたが、彼の宇宙食はハラル認証を受けていましたね。
――そのあたりは客観的に対応できるんですね。文化として。
野口:そうですね、本当に「食は文化」です。
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