宇宙の食事はかなり豊か! 宗教食も対応 スペースからあげくん? 野口宇宙飛行士に聞く

国際宇宙ステーションには、各国から国籍・宗教・年齢・性別バラバラのメンバーが集まります。長期滞在の場合、閉鎖空間で半年ほどにもなるため、大きな楽しみの一つが飲食。最新の宇宙食事情を野口聡一宇宙飛行士に聞きました。

各国の驚きの宇宙グルメ事情

 2021年9月現在、ISSに滞在しているフランスのトマ・ペスケ宇宙飛行士が持っていった牛肉の煮込み料理の缶詰では、添えられているソースにワインを使っているのが問題になりました。ISSではお酒は飲めませんし、アルコール分を含む宇宙食も禁止されています。よって、調理後に回転式蒸発器でアルコール分を飛ばし、さらにその後、核磁気共鳴装置による検査を行い、厳重に残留アルコールがないか調べて缶詰にしたとのこと。驚くほどの念の入れようです。

 2017年には、イタリア人宇宙飛行士のリクエストに応えて、ピザの材料が特別食としてISSに送られた、ということもありました。ただ、さすがにISSにピザ焼き窯はないため、市販品の生地と具を送り、ISSでは上に具を乗せ、チーズやケチャップをかける程度の調理だったようです。好評だったのか、2021年夏にも再度送られています。

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ピザを前にポーズを取る各国の宇宙飛行士たち(画像:ESA/NASA)。

 こうした食文化を宇宙食にして持っていく際には、宗教的事情への対応も考えなければなりません。イスラム教、ユダヤ教をはじめ食べ物への戒律を持つ宗教は多いからです。

 前出の野口宇宙飛行士のコメントに、イスラム教徒の宇宙飛行士がISSに滞在していた時にハラルの食品が持ち込まれたというのがありましたが、ユダヤ教にも対応した例があります。イスラエル初となったイラン・ラモン宇宙飛行士がスペースシャトルでISSを訪れた際、宇宙食をすべてユダヤ教の食事規定であるカシュルートに則ったものにしています。

 現在、アルテミス計画によって再び月へ、そして火星有人探査への道が切り開かれつつあります。宇宙へ行く人間はより多く必要とされ、そこにはさまざまな国や宗教の人々が関わることになるでしょう。

 人間である以上、飲食は欠かせないものであることから、味や食感の進化とともに、個別の思想信条にどう対応していくのか、これからの宇宙食の進化と広がりが気になります。

【了】

【宇宙でも地上と変わらない味!?】フランスの味「牛肉のブルゴーニュ風煮込み」ほか

Writer:

あるときは宇宙開発フリーライター、あるときは古典文学を教える大学教員。ロケット打ち上げに魅せられ、国内・海外での打ち上げ見学経験は30回に及ぶ。「液酸/液水」名義で打ち上げ見学記などの自費出版も。最近は日本の宇宙開発史の掘り起こしをしつつ、中国とインドの宇宙開発に注目している。

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