偉大なる「B-29そっくり機」って? 実戦投入ゼロのB-50が証明した「世界のどこへでも核爆弾」

別機種扱いになったワケ

 B-29の大規模改良型といえるXB-44は1945(昭和20)年5月に初飛行に成功。そして、その実績を反映したエンジン換装型のB-29Dが発注されたのですが、わずか3か月後の8月に第2次世界大戦(太平洋戦争)が終結したことで、軍事費は大幅に削減されることとなり、結局、B-29Dの生産はキャンセルされてしまいました。

 しかし、思惑通りエンジン・トラブルの問題が解決され、性能まで著しく向上した「ワスプ・メジャー」搭載型は、大戦をB-29で戦ったアメリカ戦略航空軍団(SAC:Strategic Air Command)にとって「使い勝手を知り尽くした機体の性能向上型」として、どうしても欲しい機種でした。

 そこで、渋るアメリカ議会の承認を得るため、あえて新型機のように装うべくB-50の型式番号が付与されたのです。もちろん、エンジン換装だけでなく垂直尾翼の大型化などかなりの改修も施されていたので、決して議会に対するカモフラージュだけが目的でもなかったようですが……。

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B-50「スーパーフォートレス」が搭載した出力3500馬力のプラット&ホイットニーR-4360空冷4重星型28気筒エンジン「ワスプ・メジャー」(画像:アメリカ空軍)。

 余談ながら、アメリカ空軍では爆撃機や戦闘機などの型式番号は、正式に開発が始まった順番で付与されます。そのため、建前上レシプロのB-50は、同じくボーイング社で開発された最新鋭のジェット戦略爆撃機B-47「ストラトジェット」よりも後に開発された機体という位置付けになっています。

 かくして370機が生産されたB-50は、B-29と同じ「スーパーフォートレス」の愛称が付与されました。外観も両者はよく似ています。しかし、性能的にはかなり向上しました。それを端的に示す例のひとつが、B-50A型の1機、ニックネーム「ラッキー・レディII」による、世界初の無着陸世界一周飛行です。

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