なぜまだ戦闘機の機銃は残る? 超音速飛行&ミサイルの時代にアナログ装備も必要なのか

多くの戦闘機には、長いあいだ「機関銃(砲)」が備わっています。ただよく考えると、航空機のスピードも上がり、ミサイルも実用化されています。なぜいまだにこの機構が残っているのでしょうか。

大戦で一気に変わる戦闘機の役割 「機関銃」もその名残?

 当初軍用機に搭載された機関銃は、相手の飛行機を落とすために使用されましたが、第一次世界大戦の展開に合わせて軍用機の用途も拡大し、爆撃機などが生まれます。一方で戦闘機の機銃攻撃も、敵の軍用機だけでなく、建物、戦車、装甲車などの車両、歩兵などに射撃目標の範囲が広がっていったのです。ちなみにその頃、銃の設置方法も進化し、一般的に思い浮かぶような「機銃を使った“組んずほぐれつ”の空中戦」が展開されるようになります。

 第二次世界大戦においては、零戦(零式艦上戦闘機)の場合、航空母艦に搭載されて、爆撃機や攻撃機とともに目標へ向い、その間敵機から味方の軍用機を守るために開発されました。零戦は胴体上部に7.7mm機関銃、左右の主翼に20mm機関砲を搭載していました。一方、アメリカ海軍の艦上戦闘機や、アメリカ陸軍航空隊のP-51などが、日本各地を飛行して、機関銃で地上の陣地や車両などを射撃していた例がよく知られます。

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パールハーバーの航空博物館にある「零式艦上戦闘機」(乗りものニュース編集部撮影)。

 ちなみに、航空機に搭載される機関銃は、弾丸の初速が大きいこと、次の弾丸が放たれるまでのタイムラグが大きいこと、搭載量や重量の制限があること、故障しにくいことなどから、他の用途の軍用機ほど多くの種類はなく、その口径も7.7mm、12.7mm、20mmなどが主力となっていました。ちなみに、零戦の20mm機関砲は、スイス製の機関砲をライセンス生産したものを搭載しています。

※ ※ ※

 2度の世界大戦後のジェット戦闘機でも「機関銃(砲)」の搭載がスタンダードなのは、対空ミサイルは万能では無いこと、空対空戦闘が常に超音速飛行で行われるのではなく、空戦性能がある程度必要である――というのが理由です。

 現代の航空戦で想定される空戦は、領空侵犯してくる相手方の航空機であれば地対空ミサイル、もしくは、スクランブル発進した戦闘機が遠距離からミサイルを発射すれば迎撃できます。しかし、それ以前に、領空侵犯した航空機を視認したうえで、相手方の攻撃意図があるのか、民間機がさまよっているのかといった状況を判断する必要があります。

 また、相手方を攻撃しに行く場合、戦闘機には空対空ミサイルはせいぜい10基も搭載できず、命中率も悪いため、相手方の領空に侵入し、爆撃や機関銃で地上攻撃する味方の機体を守るためには、機銃も搭載していなければ任務を達成できません。

 また、超音速で飛行可能な機体であっても、実際に空戦で任務を果たすためには、亜音速で旋回、降下といった機動をする必要があります。F-4、F-111などの戦闘爆撃機タイプから、F-14、F-15、F-16などの空戦戦闘機が開発されました。最新のF-35もステルス性があればレーダーで見つからずに忍び寄れることなどから、そのあたりを考慮にして開発されたと思われます。

 つまり、現代の超音速ジェット戦闘機においても「大戦下の戦闘機の使い方」はいまだ健在で、「“組んずほぐれつ”の空中戦」が発生する可能性も、常に念頭に置かれているということでしょう。

【了】

【でけえ!】スマホと比較「機関銃の弾」&WW2の大口径砲搭載機たち

Writer:

成田空港隣の航空科学博物館元学芸員。日本初の「航空関係専門学芸員」として同館の開設準備を主導したほか、「アンリ・ファルマン複葉機」の制作も参加。同館の設立財団理事長が開講した日本大学 航空宇宙工学科卒で、航空ジャーナリスト協会の在籍歴もある。

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コメント

5件のコメント

  1. ミサイル万能論なんてのがあって、機銃を搭載しない戦闘機は実際に存在した。ところが、実際に戦ってみるとミサイルは思ったほど当たらないし、使い切ったら尻尾巻いて逃げる以外の選択肢が無くなるから、結局機銃を搭載することになった。

    ミサイル、レーダー技術が発展した今、視界外戦闘が主体になると思われるが、戦闘機同士の格闘戦が発生しないという保証はない。

  2. <戦闘機には空対空ミサイルはせいぜい10基も搭載できず

    4基しか積めないF-35(;o;)

    空戦や地上への射撃もですが、反撃能力の無い航空機への射撃が機関砲に適してます(^∇^)

    ドローンは輸送機や給油機とちがって味方(迎撃戦闘機からみれば敵)制空圏外を護衛無しで飛ぶ事が多く価格もミサイルより安価なため機関砲向けのターゲットと言えます(^-^)v

  3. 当初F-4には機銃搭載していなかったが、

    ベトナム戦争が始まってみるとミサイルだけでは使い勝手が悪いと

    パイロットからも不満が出て後付で付くようになったとか言う逸話もあるね、

    要は

    歩兵でも自動小銃だけでなく

    いざ近接戦闘になった際に備えナイフを忍ばせておくもの

    実際使わなくても心理的な安心感があるというものでしょう。

  4. 文章もなっていないが誤りが多すぎ。

    「先の大戦のプロペラ戦闘機から装備が始まった」

    WW1かWW2どっち?

    「当初軍用機に搭載された機関銃は、相手の飛行機を落とすために使用されましたが、第一次世界大戦の展開に合わせて軍用機の用途も拡大し、爆撃機などが生まれます。」

    文意不明。塹壕と砲戦、観測といった背景を理解していないのか。

    「零戦(零式艦上戦闘機)の場合、航空母艦に搭載されて、爆撃機や攻撃機とともに目標へ向い、その間敵機から味方の軍用機を守るため」

    防衛するのは艦船。

    「次の弾丸が放たれるまでのタイムラグが大きいこと」

    意味不明。

    編集部はチェックしないのか?

  5. 対艦ミサイルだけ抱えてるケース(あんまりないだろうが)は、機銃がないと丸腰状態。まあ護衛機はつけるんだろうが。

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